肉用鶏ふん中の窒素、リンおよび排泄乾物量の低減化技術


[要約]

肉用鶏に市販アミノ酸とフィターゼを添加した低蛋白、低リン飼料を給与すると窒素で10〜15%、リンで約22%の排泄量を低減でき、飼料消費量に対するふん乾物排泄量の割合も約10%少ない。

[キーワード]

アミノ酸、フィターゼ、窒素とリン排泄量低減、ふん乾物排泄量低減

[担当]

静岡中小試・飼養技術研究室

[連絡先]

0537-35-2291

[区分]

関東東海北陸農業・畜産草地

[分類]

技術・参考


[背景・ねらい]

肉用鶏の市販飼料中には日本飼養標準を超える栄養分が含まれることが多く、鶏にとって未利用の栄養分はふん尿中に排泄される。そこで市販アミノ酸とフィターゼを添加した低蛋白、低リン飼料を肉用鶏に給与し、窒素、リン及び乾物排泄量の低減対策を検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. 秋(2000年9月27日餌付け:以下秋餌付け)と冬(2001年1月16日餌付け:以下冬餌付け)に肉専用種の雌を用いて飼養試験を行った。低蛋白、低リン区は市販のアミノ酸(メチオニン、リジンを日本飼養標準の120%量)、とフィターゼ(500単位/kg)を添加したCP16%、非フィチンリン0.3%飼料、対照区はCP18%、非フィチンリン0.4%飼料を21日齢から秋餌付けは55日齢、冬餌付けは56日齢まで給与し(MEはともに3,150kcal/kg)、窒素、リン、乾物排泄量、体重等を調査した。
  2. 一羽あたりの総窒素排泄量は、低蛋白、低リン区が10〜15%、一羽あたりの総リン排泄量は、低蛋白、低リン区が約22%それぞれ有意に少なかった(図1)。
  3. 飼料消費量に対するふん乾物排泄量の割合は低蛋白、低リン区が約10%有意に少なかった(図2)。
  4. 体重、飼料要求率、生存率は差がなかった(表1)。

[成果の活用面・留意点]

すべての肉用鶏飼育農家で利用できるが、アミノ酸、フィターゼを添加するために生産コストが一羽当たり4〜8円上昇する。

[具体的データ]


図1 一羽当たり窒素およびリン排泄量
 *: 各餌付け時期毎に処理区間に5%水準で有意差あり(以下同様)
調査期間:秋餌付け21〜55日齢、冬餌付け21〜56日齢


図2 飼料消費量に対する排泄乾物量の割合 

[その他]

研究課題名 :飼養管理の改善による排泄物量低減化技術
予算区分 :県単
研究期間 :1998〜2000年度
研究担当者 :池谷守司
発表論文等 :市販アミノ酸とフィターゼを添加した低蛋白低リン飼料の給与による肉用鶏の窒素、リンおよび排泄乾物量の低減化,静岡中小試研報,12,2001.(投稿中)

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