水稲「あさひの夢」の奨励品種採用


[要約]

水稲「あさひの夢」は、県下平坦地の中生に属する粳品種である。良質、良食味で、穂いもちに強く、縞葉枯病抵抗性を持つ。耐倒伏性と収量性は「黄金晴」並に優れる。「黄金晴」に替えて奨励品種に採用する。

[キーワード] 水稲、あさひの夢、奨励品種採用、良質、良食味、穂いもち強、縞葉枯病抵抗性
[担当] 静岡農試・作物部
[連絡先] 0538-33-6678
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]

昭和58年に奨励品種に採用された中生の「黄金晴」は、玄米外観品質が良好で収量性に優れるが、いもち病、縞葉枯病に弱く、食味評価が低い。このため、近年「コシヒカリ」等の早生良食味品種への作付け偏重が進み、管理作業の平準化や機械の効率利用を妨げている。そこで、早生品種への集中を緩和し、本県産米の良食味化を図るため、いもち病、縞葉枯病抵抗性に優れる中生の良食味品種を選定する。

[成果の内容・特徴]

  1. 「あさひの夢」は愛知県総合農業試験場において「愛知70号(あいちのかおり)」を母に、 「愛知56号(月の光)」と「愛知65号」のF1を父として昭和60年に交配を行い、育成された粳種である。
  2. 出穂期は「黄金晴」と同じで、成熟期は1日程度早く、平坦地では中生に属する(表1)。
  3. 稈長は「黄金晴」より5cm程度短い。穂長、穂数は同程度で、草型は偏穂重型に属する(表1)。
  4. 玄米千粒重は「黄金晴」よりやや重く、玄米の外観品質は優れる。収量は「黄金晴」と同程度である(表1)。
  5. 強稈で、耐倒伏性は「黄金晴」と同程度に強い。(表4
  6. 葉いもち抵抗性は‘中’、穂いもち抵抗性は‘強’で「黄金晴」より優れる。縞葉枯病には抵抗性を示し、白葉枯病には‘やや弱’である。穂発芽性は‘中’で「黄金晴」よりやや劣る(表4)。
  7. 食味は「黄金晴」に優り良好である(表4)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 「黄金晴」に替わる奨励品種として、平坦地一円を普及対象地域とする。普及予定面積は1,500haである。
  2. いもち病に強く、強稈で倒伏しにくいが、良質・良食味米生産のため多肥栽培は避ける。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :水稲奨励品種決定試験
予算区分 :県単
研究期間 :平成12年度(平成6〜12年)
研究担当者 :小池清裕、田中香里、平野 亮
発表論文等 :なし

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