米ぬかの水田雑草に対する除草効果


[要約]

移植後、雑草の発生始期までに米ぬかを10〜20kg/a施用することで、イヌビエ、カヤツリグサ類、一年生広葉雑草を防除できる。米ぬか処理で田面水中の溶存酸素量は急激に低下し、土壌は表層から速やかに還元化することから、イヌビエでは発芽が抑制され、タイヌビエ、イヌホタルイ、コナギでは発芽の抑制は小さいが、初期生育は抑えられる。

[キーワード] 米ぬか、水田雑草、除草、酸化還元電位、溶存酸素量
[担当] 三重科技農研・伊賀農業研究室
[連絡先] 0595-37-0211
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]

水稲の無農薬栽培において雑草防除に米ぬかが利用されることがあるが、その効果についての詳細は不明である。そこで、米ぬかの施用量、施用時期及び草種による効果の違いを明らかにするとともに、除草効果の発現要因について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 移植後から雑草発生始期までに米ぬかを10〜20kg/a施用するとカヤツリグサ類、アゼナ類、ミゾハコベ、キカシグサの発生はほとんどみられなくなり、イヌビエの発生も抑えられる。しかし、イヌホタルイ、コナギに対する除草効果は小さい(表1)。
  2. 雑草発生始期までの処理で除草効果の高い草種でも、処理時期が遅くなると除草効果は小さくなる(表1)。
  3. 米ぬか処理でイヌビエの発芽率は著しく低下する。一方、タイヌビエ、イヌホタルイ、コナギでは発芽率の低下は小さいが初期生育は抑えられる(表2)。
  4. 米ぬか処理で田面水中の溶存酸素量は急激に低下し、1日後には1mg/l以下となる。また、処理量が多いほどその後の溶存酸素量の増加は遅くなる(図1)。
  5. 米ぬか処理で表層から酸化還元電位の低下が始まり、深さ1cmまでの酸化還元電位は1日後に−200mV以下にまで急激に低下する(図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. ほ場試験は早期栽培の稚苗機械移植、減水深1cm以下、水深5cm程度の慣行水管理の条件で実施した。
  2. 米ぬか処理のみでは除草効果が不十分なため、機械除草等の有効な手段と組み合わせる必要がある。
  3. 米ぬかを処理することで翌日から一週間程度悪臭が生じる。
  4. 米ぬかの散布はペレット化したものを動力散布機で施用することで省力化できる。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :資源循環型農業生産技術の確立と環境修復に関する研究
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2001年度
研究担当者 :中山幸則、北野順一
発表論文等 :第41回日本雑草学会にて発表予定

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