4種類の土壌におけるメトラクロールの残効期間


[要約]

土壌処理型除草剤メトラクロールは、土壌の種類に関係なく、処理後早い時期の土壌表層における土壌水分の高い方が、残効期間が長い。

[キーワード] 畑雑草、土壌処理型除草剤、土壌水分、メトラクロール、残効期間
[担当] 中央農研・耕地環境部・畑雑草研究室
[連絡先] 0298-38-8426
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海水田畑作物
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]

畑地における土壌処理型除草剤の効果(残効期間)は水田に比べて変動が大きいことが知られている。そこで、畑用土壌処理型除草剤メトラクロール(図中の記号:MTC)を用いて、4種類の土壌における本剤の残効期間、土壌溶液中消長および土壌水分の経時的変化を測定することにより、除草剤の残効性に及ぼす土壌の種類および土壌水分の影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 4種類の土壌[厚層腐植質黒ぼく土、赤黄色土、灰色低地土、淡色黒ぼく土]において、土壌表層(0〜1cm)におけるメトラクロールの土壌溶液中濃度の減衰に明確な差異はないが(図1)、処理後早い時期の土壌が湿潤条件(2000年、1999年)の方が、乾燥条件(1998年)よりも減衰が速い(図2)。
  2. 4土壌におけるイヌビエ、メヒシバおよびスベリヒユに対するメトラクロールの残効期間は、年次間および土壌間で変動する(図3)が、処理後早い時期に土壌が湿潤条件の方が乾燥条件よりも長く、処理後50日間ではほとんど相関がないのに対して、処理0〜10日後の土壌水分と残効期間の間に正の相関がある(図4A,B)。
  3. 以上のことから、処理後早い時期に湿潤条件が続くと、土壌表層におけるメトラクロールの土壌中溶液中減衰が速いが、逆に残効期間が長い傾向にあり、現場において処理後長期間降雨がない場合の残効期間が短くなることを裏付けるものである。

[成果の活用面・留意点]

  1. 畑地における除草剤の残効期間の予測に、土壌水分を説明変数の1つとしてとして組み込む際の参考資料となる。
  2. 本試験は、メトラクロールのみによる結果であるので、他の土壌処理型除草剤に適用する場合は確認する必要がある。また、薬剤が流亡するような降雨条件、すなわち極端な湿潤条件では試験していない。

[具体的データ] 

[その他]

研究課題 :畑地における土壌処理型除草剤の残効性に及ぼす土壌水分の影響
予算区分 :交付金
研究期間 :1998〜2001年度
研究担当者 :與語靖洋、中村直紀、浅井元朗、澁谷知子
発表論文等 :1)Yogo et al.(2001)Proceeding II of 18th APWSS:892-893.
  2)與語ら(2001)関東雑草研究会報 12:33.
  3)與語ら(1999)雑草研究44(別):28-29.

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