簡便に装着できるデジタル表示式バルブ開度計及びゲート開度計


[要約]

開発した開度計は、用排水路の送水量を規制するバルブやゲートの開度を、マンホール内が泥水で水没する厳しい条件下でも、手元で正確に表示できる。これにより、農業用水・排水の管理を正確かつ安価に省力化でき、貴重な水資源を無駄なく送水できる。

[キーワード] ゲート、バルブ、開度計、
[担当] 愛知農総試・経営環境部・農業土木研究室
[連絡先] 0561-62-0085
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・作業技術
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]

農業用水は、パイプライン送水が多く、分岐点には必ずバルブが設置される。バルブの開度調節は、用水の公平な配分と作物生育による季別送水量変化に対応するため、高頻度(図1)に行われる。
開度調節操作は、小口径バルブ(表1)では開度計が付いていないため、水管理者が一旦バルブを全閉後回転数を数えて設定するので労力も大きい。また大口径バルブでは簡単な開度計が付けられているが、マンホールの底部に設置されているうえ内部に泥水が貯る場合が多いので、開度は全く見えない状況にある。
そこで、マンホール内が水没する厳しい条件下等でも、手元で正確に開度が確認できる安価なゲート及びバルブ開度計を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. 開発した開度計(図2)は、開度検出部(標準はヒューム管径300mm内の取り付け金具と継軸1m以下を含む)と表示器(0.0〜95.0回転表示、分解能0.1回転)とが分離し、検出部と接続コードとが完全防水されているので、泥水の水没下でも開度を手元で簡単に確認できる。
  2. ゲートの開度計は、1回転が10mmのスピンドル棒に開度検出部を装着すれば1mmの分解能で95.0cmのゲート開度を表示する。開度の測定幅はギヤ比によって可変もできる。
  3. 開度検出部は、継軸シャフトの回転数をギヤ比によって減速してポテンシオメータに伝達する構造を持ち(図3)、電気的計測により携帯電話等で遠方監視も可能である。
  4. 従来水管理者は一旦バルブを全閉後回転数を数えて開度設定してきたが、現況開度が瞬時に分かるので、操作は省力化と正確な設定が図れる。
  5. ゲートやバルブに開度検出部のみを設置し、水管理者が1台の表示器を携帯してコードに接続すれば多数カ所の開度を把握でき、経済的である。

[成果の活用面・留意点]

既設、新設を問わず、弁棒への継軸シャフトを介すればどのバルブにも設置できる。
バルブ開度計は共同研究先のメーカーから販売され、平成13年度においては豊川用水、愛知用水、枝下用水の13カ所で活用されている。

[具体的データ]

 

 

[その他]

研究課題名 :農業施設の省力維持管理と低コスト更新技術
予算区分 :県単
研究期間 :2001〜2006年度
研究担当者 :榊原正典、井上孝史(角田鉄工株式会社)
発表論文等 :特願2001−230648、バルブ開度計及びゲート開度計

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