飼料イネの茎葉部における飼料成分の品種間差


[要約]

イネ茎葉部の酵素分析値および推定TDN濃度には品種・系統間差が認められ、イネ茎葉部について栄養価に関する選抜ができる。

[キーワード] 飼料イネ、茎葉部、酵素分析値、推定TDN、「関東飼206号」
[担当] 長野県畜産試験場草地飼料部、長野県農事試験場育種部
[連絡先] 0263-52-1188、026-246-9783
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・総合研究
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]

イネ茎葉部の栄養価は山羊を用いた消化試験に基づき飼料成分から栄養価を推定することは可能である。一般に飼料作物においては、茎葉部は養分の供給源として働くため登熟するに伴い茎葉部の繊維含量は増加することが知られている。イネ茎葉部の飼料成分は、消化性において品種間差があることが報告されているが、茎葉部の消化性を子実部分との関係から考察した報告は少ない。したがって、イネ茎葉部の飼料成分とイネ子実部分の関係を明らかにしイネ茎葉部について栄養価に関する選抜ができるか検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 茎葉部細胞壁物質(OCW)含量が、65.2〜73.8%、高消化性繊維(Oa)含量は4.9〜13.6%、低消化性繊維(Ob)含量は51.7〜63.9%範囲にある。繊維の消化性指標として細胞壁物質に占める低消化性繊維割合(Ob/OCW(%))は、79.2〜 92.5%の範囲にあり、推定TDN濃度は、40.4〜49.5%と推定され品種間差が認められる。茎葉部細胞内容物(OCC)含量は、9.0〜14.9%の範囲にある(表1)。
  2. 早晩性を示す出穂までの日数と茎葉部酵素分析値および推定TDN濃度との間には相関は認められない。籾藁比とOCWおよびObの間には正の相関、籾藁比とOCCおよび推定TDN濃度の間には負の相関が認められ子実部分に影響される。一方、籾藁比とOb/OCWの間には相関は認められず茎葉部の繊維の消化性は、子実部分に影響されない(表2)。
  3. 「関東飼206号」のOb/OCWは、79.2%で最低であり、推定TDN濃度は49.5%と茎葉部の消化性に優れている(図1)、(図2)。
    以上よりイネ茎葉部の栄養価に関する選抜の可能性がある。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本データは、サイレージ調製しない育種・栽培研究者が品種選定をする場合活用する。
  2. 出穂期後約30日で収穫し、穂首部分で切断し茎葉部のみを分析した。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :飼料イネに対応した省力化生産・調製・利用技術の確立
予算区分 :地域基幹研究
研究期間 :1999〜2001年度
研究担当者 :百瀬義男、久保田基成、中澤伸夫、原拓夫
発表論文等 :平成13年度日本草地学会大会発表会講演要旨集 p242-243

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