セル成型苗を利用したチンゲンサイ栽培のかん水によるカッピング防止


[要約]

チンゲンサイの夏期および冬期のセル成型苗育苗中はかん水回数を減らし、一時的に苗を萎れさせることで、収穫時のカッピングの発生を軽減できる。また、夏期のセル成型苗定植直後は多量少回数かん水とすることでカッピングが軽減される。

[キーワード] チンゲンサイ、セル成型苗、育苗、かん水、カッピング
[担当] 千葉農総研・北総園芸研究所・東総野菜研究室
[連絡先] 0479-57-4150
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・野菜
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]

夏期は高温・乾燥、冬期は低温・寡日照下にあるチンゲンサイ栽培ではカッピング(葉身の中央部に比べ、周辺部の展開が劣ることで起こる葉の湾曲)による品質低下が問題である。カッピングの発生には土壌水分が影響していることが知られている。そこで、セル成型苗の育苗中や定植直後のかん水法がカッピングの発生に与える影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 夏期のセル成型苗育苗中はかん水回数を減らし、一時的に苗を萎らせることで、収穫時のカッピングの発生が軽減される(表1)。
  2. 夏期のセル成型苗定植直後は、少量多回数かん水よりも多量少回数かん水によってカッピングの発生が軽減される(表2)。
  3. 冬期のセル成型苗育苗中は、少量少回数かん水よりも一時的に苗を萎れさせることで、カッピングの発生が軽減される(表3)。
  4. 冬期のセル苗定植直後には、かん水法による生育やカッピング発生への影響はない(表4)。

[成果の活用面・留意点]

  1. カッピングが発生し易い環境ではチップバーンを生じることがある。
  2. 11〜2月までのセル育苗は最低気温が10℃の温床育苗とする。
  3. 夏期定植直後の遮光は徒長を防ぐため、2〜3日以内とする。
  4. 12月中旬から2月中旬までに定植する栽培では定植から収穫2週間前までを目安にパスライトなどによるべたがけを行って保温・保湿する。
  5. 厳寒期であっても日中はハウス内を換気する。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :チンゲンサイのセル成型育苗における水分管理と生育
予算区分 :県単
研究期間 :1996〜2000年度
研究担当者 :吉田俊郎

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