夏秋トマト雨よけ栽培の摘花房処理による後期草勢維持


[要約]

夏秋トマト雨よけ栽培において、4段花房あるいは5段花房を摘除することによって、中段以降の草勢が維持され、着果率が向上して、無摘除と同等以上の収量が確保できる。また、8月に集中していた収穫時期が9月以降に分散されることによって、労力分散や販売額が向上する。

[キーワード] 夏秋トマト、摘花房処理、草勢、着果率、労力分散、販売額
[部署] 岐阜中山間農技研・試験研究部
[連絡先] 0577-73-2029
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・野菜
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]

飛騨地域における夏秋トマトの出荷量は8月に多く、9月以降は減少する傾向が見られる。これに対して、価格は7月下旬から8月中旬までは安値で推移し、8月下旬から10月上旬までは高値となる傾向がある。そこで、中段以降の草勢を維持し、着果を安定させる手段としての摘花房処理の効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 摘花房処理は4段花房以降で行い、処理花房の第1花の開花が確認できた頃に一斉に花房ごと除去する。
  2. 摘花房処理により摘花房処理段の茎径はわずかに細くなるが、これより上段では太くなる。この傾向は3段花房の摘除処理で顕著である(表1図1)。
  3. 摘花房処理によって処理段の上3段目から5段目の花房の着果率が向上する(データ略)。
  4. 3〜5段のいずれか1花房を摘除しても、収量は無処理と同等か、それ以上である(表1)。
  5. 4段あるいは5段花房の摘除によって、8月に集中していた収穫時期が9月以降に分散される(図2)。
  6. 平成7年〜12年の平均単価を基にシミュレ−ションしてみると、販売額は3〜5段のいずれか1花房を摘除することで上昇し、とくに4段花房を摘除した場合10a当たり約40万円(約10%)増額する(図3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 8月期の出荷集中を避けるには、7月15日前後に開花する花房を除去する。

[具体的データ]

  図1 摘花房処理が茎径に及ぼす影響
  注)摘花房処理段を0とする。

    図2 摘花房処理と旬別収穫果数 

    図3  摘花房処理と販売額

[その他]

研究課題名 :夏秋トマトの長雨・低日照下における生産安定
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2001年度
研究担当者 :鈴木隆志、成田久夫、藤本豊秋

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