シクラメン、ポインセチアの順化処理による低温下日持ち性の向上


[要約]

シクラメン及びポインセチアの低温下の日持ち性を向上させる技術として、出荷前に2週間程度、昼温10℃、夜温5℃で順化することにより、0℃一定の温度条件下でシクラメンは40日以上、ポインセチアでも5日間品質保持が可能である。

[キーワード] シクラメン、ポインセチア、低温順化、品質保持
[担当] 愛知農総試・花き研・栽培研究室
[連絡先] 0561-62-0085
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・花き
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]

シクラメン、ポインセチアは冬季を代表する鉢花であり、従来はほとんどが室内観賞用に生産されていた。しかし、最近ではアーケードや軒先のディスプレイに使われるなど用途が拡大してきており、低温下での日持ちは商品性の重要な要因になると考えられる。そこで、両種について低温順化の方法及び効果を明らかする。

[成果の内容・特徴]

  1. シクラメン「シューベルト」を0℃一定の温度条件下に置くと、無処理株は2〜3日後に花柄の萎れが始まり、5日間で株全体が萎凋し観賞価値を失う。昼温10℃、夜温5℃で14日間順化処理することにより、40日間品質劣化は全く見られず、出荷時の品質が維持される(表1図1)。7日間の順化では、0℃一定下で5日間は品質が保持されるが、10日目には無処理株同様花柄の萎れが見られる。
  2. ポインセチア「フリーダムレッド」を0℃一定の温度条件下に置くと、無処理株は2日後には苞葉が萎れ始め、5日後には萎れが激しく観賞価値を失う。昼温10℃、夜温5℃で17日間順化処理することにより、0℃一定条件下でも5日後までは出荷時の品質を保つことができ、12日後までは観賞に堪えうる品質を維持できる(表2図2)。10日間の順化では効果が若干低く、2日後には苞葉の萎れが始まり、9日後に観賞価値を失う。

[成果の活用面・留意点]

  1. 低温下での日持ち性が向上することにより、屋外ディスプレイが可能となり用途が広がる。また、「低温順化済み」を表示することにより付加価値が高まり、消費の拡大が期待できる。
  2. 品種により低温下での日持ち性は異なる。
  3. シクラメンは弱い霜には耐えるが、ポインセチアは霜にあたると観賞価値を失うため、順化株でも霜には注意が必要である。
  4. 太陽光が当たり昼温が上昇する場所では、日持ちはより良くなる。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :鉢もの花きにおける観賞持続性向上のための順化処理及び根圏管理技術の開発
予算区分 :国補(新技術)
研究期間 :1998〜2000年度
研究担当者 :須田晃、西尾譲一、福田正夫

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