カーバム系薬剤の土壌消毒跡地におけるハクサイ黄化病発病抑制効果
[要約]
カーバム系薬剤を散布・土壌混和、畦立て全面マルチ被覆した土壌消毒跡地におけるハクサイ黄化病の発生は、消毒後1〜2年間、クロルピクリン剤の全面マルチ畦内消毒跡地に比較して少なくなる。カーバム系薬剤土壌消毒跡地に耐病性品種を栽培することで無消毒でも実用的な防除効果が得られた。
[キーワード] |
ハクサイ黄化病、土壌消毒、カーバム、耐病性品種 |
[担当] |
茨城県農総セ農研・病虫研究室 |
[連絡先] |
029-239-7211 |
[区分] |
関東東海北陸農業・関東東海・病害虫 |
[分類] |
技術・参考 |
[背景・ねらい]
現場では、ハクサイ黄化病防除対策としてカーバム系薬剤を用いた土壌消毒が行われているが、ほとんどが無被覆処理で、防除効果が不安定となっている。そこで、本病に対する最も効果的なカーバム系薬剤の土壌消毒法を明らかにするとともに、土壌消毒と耐病性品種を利用した持続的な防除技術を開発する。
[成果の内容・特徴]
- カーバム剤(NCS)は10a当たり原液30〜50Lを、カーバムナトリウム塩液剤(キルパー)は10a当たり原液60Lを、水で3倍に希釈して圃場全面の地表面に散布、土壌混和して、直ちに畦立て全面マルチ被覆(白黒Wマルチ、20日間くん蒸、ガス抜き無し)した。
- カーバム剤土壌消毒跡地におけるハクサイ罹病性品種(新理想めぐみ等)の黄化病発病度は、消毒後1〜2年間、クロルピクリン剤(80%油剤)の全面マルチ畦内注入跡地およびダゾメット微粒剤(バスアミド微粒剤)土壌混和跡地に比較して低く推移する(図1、表2)。
- 各種土壌消毒跡地に黄化病耐病性品種(T-741)を栽培した場合、いずれの土壌消毒跡地においても耐病性品種は常に罹病性品種より可販品率が高く、特にカーバム剤土壌消毒跡地での可販品率は、2年間とも90%以上と安定して高かった(図2)。
- 各種土壌消毒剤のうち、土壌消毒当年のハクサイ黄化病防除効果は、クロルピクリン剤の全面マルチ畦内注入処理が最も高いが、消毒翌年に無消毒で罹病性品種を栽培すると、発病度は急激に高まる(図1)。本法は畦内のみの部分消毒であるため、畦間の未消毒土壌が耕起時に拡散して、翌年の発病を高める要因となるものと考えられる。
[成果の活用面・留意点]
- 土壌消毒をしても、その跡地で罹病性品種を無消毒で栽培するとハクサイ黄化病の発生は多くなる(図1)ので、耐病性品種を用いて防除効果を高める。
- ハクサイ黄化病の発生が高まると、耐病性品種の導入効果も低くなる(図2)ので、耐病性品種に偏重した栽培は行わない。
[具体的データ]




[その他]
研究課題名 |
:臭化メチル代替新防除技術を核とした野菜類の持続的安定生産技術の確立 |
予算区分 |
:国補(地域基幹) |
研究期間 |
:1999〜2003年度 |
研究担当者 |
:渡邊 健、諏訪順子、上田康郎 |
発表論文等 |
: |
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