刃に消毒液が自動噴霧されるハサミによるトマトかいよう病防除


[要約]

ハサミの切断動作と連動して消毒液(70%カルシウムハイポクロライドの500倍液)を刃両面に自動噴霧できるハサミを開発した。これをトマト下葉切除作業に使用すると、ハサミによるかいよう病の二次伝染を防止できる。

[キーワード] 消毒液、自動噴霧、ハサミ、トマトかいよう病、整枝、二次伝染、防除
[担当] 群馬園試・生産環境室、群馬農試・経営部・機械作業課
[連絡先] 群馬園試・0270-62-1021、群馬農試・027-269-9122
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・病害虫、関東東海北陸農業・関東東海・作業技術
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]

群馬県北部の中山間地帯の夏秋トマトでは、かいよう病の多発による被害が問題となっている。現地では、病原菌の発病株から健全株への二次伝染防止のため、整枝作業に用いるハサミの刃をこまめに消毒するよう指導している。しかし、作業の繁雑さから刃の消毒は農家ではほとんど実施されておらず、そのことがかいよう病多発の一因と指摘されている。そこで、刃両面に自動的に消毒液が噴霧されるハサミを開発し、かいよう病の防除効果を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 芽切りハサミの刃に自動的に消毒液を噴霧できるハサミを開発した。
  2. ハサミの刃基部に2個のノズルを装着し、ハサミの柄には切断動作と連動するようにスイッチを取り付けた。薬液タンクの消毒液は、電磁弁・チューブを介してノズルから刃の両面に噴霧される(図1)。
  3. 消毒液の噴霧開始タイミングと噴霧時間は、切断連動スイッチの入力を基準として任意に調節できる。
  4. 70%カルシウムハイポクロライド500倍液の刃両面への噴霧処理は、トマトかいよう病のハサミによる伝染防止効果が高い(表1)。
  5. 70%カルシウムハイポクロライド500倍液を片面1mlずつ自動噴霧するように調整した本ハサミを、トマト下葉切除作業に使用すると、かいよう病の二次伝染が防止できる(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 70%カルシウムハイポクロライドは、農業資材消毒剤であり、トマトに直接かからないよう注意が必要である。
  2. 開発したハサミは、製品化へ向けてノズルやチューブの取り付け方法、全体の軽量化等の改良が必要である。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :トマトかいよう病防除対策 
予算区分 :県単
研究期間 :2001年度
研究担当者 :漆原寿彦、原昌生、酒井宏
発表論文等 :第49回関東東山病害虫研究会発表会講演

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