フタスジヒメハムシによるダイズ根粒の摂食被害と対策


[要約]

ダイズの害虫であるフタスジヒメハムシの根粒摂食による生育抑制は顕著で、エチルチオメトン粒剤を播種溝施用すると高い防除効果が得られる。この結果ダイズの初期生育が確保され、収量が向上する。

[キーワード] ダイズ、フタスジヒメハムシ、エチルチオメトン粒剤、播種溝施用
[担当] 愛知農総試・作物研究所・環境研究室
[連絡先] 0561-62-0085
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・病害虫、関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物、関東東海北陸農業・関東東海・総合研究
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]

ダイズの本作化に伴い高品質生産が進められるなか、フタスジヒメハムシは黒斑粒を助長する遠因として問題になるが、愛知県では本種による品質低下は重要視されてこなかった。しかし、ダイズ低収要因解明のための実態調査(1999〜2000年)で、本種の多発生による根粒摂食被害に起因すると考えられるダイズの生育抑制を確認した。そこでフタスジヒメハムシ幼虫による根粒摂食被害がダイズの生育及び収量等に与える影響を調べ、有効な防除方法を確立する。

[成果の内容・特徴]

  1. フタスジヒメハムシ幼虫により、無処理区では生育初期から90%以上の根粒が食害を受け、窒素固定能力が低下するために生育が抑制される。また、成虫による葉の食害も初期生育を抑制すると考えられる(図1)。
  2. フタスジヒメハムシに対して、播種時にエチルチオメトン粒剤を播種溝条施(4kg/10a)すると、成虫・幼虫数とも無処理区に比べ低密度に推移し、9月半ばまでフタスジヒメハムシによる被害を抑制する。(図1)。
  3. エチルチオメトン粒剤の施用により、無処理区に比べて、収量、大粒比率が向上する(表1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. エチルチオメトン粒剤はアブラムシ・ハダニ対象で登録されている。今後、フタスジヒメハムシへの登録拡大が望まれる。
  2. エチルチオメトン粒剤は、ダイズ播種機の肥料ホッパー装置により播種溝施用が可能であり、省力的かつ効果的に施用することができる。
  3. 本情報は愛知県西三河洪積台地における慣行栽培ほ場(播種日:6/20〜7/10、品種:フクユタカ)における調査結果に基づいている。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :高品質・多収小麦・大豆体系の総合化研究
  不耕起播種を基幹とした高生産性大豆の省力栽培技術の確立
予算区分 :県単、国補(地域基幹)
研究期間 :2001〜2004年度 1999〜2002年度
研究担当者 :武井真理、中村 充、濱田千裕

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