カーネーションにおける一番花採花時期までの施肥窒素の吸収と分配


[要約]

カーネーションでは吸収窒素量が少ない場合は生育中の各器官に分配され、多い場合は各器官の生育に寄与するよりも新しく形成される器官(わき芽)に多く分配される。

[キーワード] カーネーション、施肥窒素利用率、窒素分配、トレーサー15
[担当] 千葉農総研・暖地園芸研究所・環境研究室
[連絡先] 0470-22-2603
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料
[分類] 科学・参考

[背景・ねらい]

カーネーションは生育・採花期間が長いため、土壌化学性を適正に保つように施肥管理を行うには、窒素の吸収特性に基づいた施肥法が求められる。そこで、トレーサー15Nを用いて窒素の施肥時期ごとの利用率と各器官における分布を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 施肥窒素の利用率:基肥、追肥とも施肥量が多いと利用率は低く、逆に施肥量が少なくなると利用率は高まる(表1)。特に後期の追肥ではその傾向が著しい。
  2. 各施肥時期別窒素の採花枝への分配:採花時期の早いものは基肥由来窒素の比率が高く、採花が遅くなるにつれて追肥由来窒素の比率が高くなる(図1)。部位別では最初に形成される器官である葉に基肥由来窒素の分配が多く、その後に形成される器官であるわき芽(将来の二番花)や花蕾は追肥由来窒素の分配が多くなる(図2)。
  3. 施肥量の違いによる吸収窒素の分配:採花枝の乾物重は施肥量が多いと増加するが、その差はわき芽に大きく現れ、一番花の葉、茎、花蕾では差が小さい(表2)。窒素含有量はどの部位でも施肥量が多いと増加するが、特にわき芽で著しい。
  4. 以上のことから、吸収された窒素は施肥量が少ない場合は生育中の各器官に分配され、それ以上多くなると新しく形成する器官(わき芽)に多く分配されるようになる。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成果は暖地の普通作型におけるスプレータイプの品種(マレア)の一番花採花時期までのデータ(ポット試験、1株/a/5000ポット、3本仕立て、土壌:黒ボク土)である。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :花きの土壌管理と施肥法の改善
予算区分 :県単
研究期間 :1998年度
研究担当者 :浅野清一郎、田中福代(中央農研)、米山忠克(現東大院農学生命科学)
発表論文等 :1)浅野ら、カーネーションにおける施肥窒素の動態、土肥講要47、111(2001)
  2)浅野ら、カーネーションにおける施肥窒素の動態 2.黒ボク土と灰色低地土における吸収の特徴、土肥関東支部講要、11(2001)

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