静岡県内農耕地土壌の深さ別養分分布
[要約]
静岡県内の農耕地土壌は、土壌表層だけでなく、下層でも塩基類やアニオン類の 濃度が高い事例がみられる。
[キーワード] |
静岡県農耕地土壌、深さ別、養分分布 |
[担当] |
静岡農試・土壌肥料部 |
[連絡先] |
0538-36-1556 |
[区分] |
関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料 |
[分類] |
科学・参考 |
[背景・ねらい]
県内の従来の土壌調査では肥培管理が土壌深部まで及ぼす影響についてのデータが少ない、このため、定点モニタリング調査において、土壌を深さ別に調査し、負荷の実態を把握する。
[成果の内容・特徴]
- 平成12年度のモニタリング調査において、施設6、茶園7,普通畑3、水田3、果樹3地点について土壌養分を深さ別に調査した。
- 肥培管理による塩基類の影響は、塩基バランスが適正な作目・土壌は施設土壌(灰色低地土・トマト等)及び普通畑土壌(砂丘未熟土・ダイコン)、水田土壌(細粒グライ、灰色低地土・水稲)であるが前者は塩基が過剰域、後者は欠乏域である。
また、塩基バランスが適正外の作目・土壌は茶園土壌(赤色、黄色、黒ボク土)と果樹園土壌(赤色、黄色土・ミカン)であり、カリウム濃度が高く、マグネシウム濃度が低いためMg/Kが適正範囲外にある(図1〜3、表1)。
- 肥培管理によるアニオン類の影響は、硝酸イオン濃度は施設土壌のように表層ほど高いものと茶園土壌や果樹園土壌のように下層で濃度が非常に高くなるもの、普通畑や水田のように全層で濃度は低いものがある。
また、硫酸イオン濃度は硝酸イオンと同じような傾向であったが、水田では表層及び75cm以下の下層で高かった(図4〜5)。
[成果の活用面・留意点]
- 施設土壌では、カルシウムやマグネシウム濃度が高く、苦土石灰質資材の減肥などの塩基のバランスに留意した施肥管理を行う。
茶・果樹園土壌では、カリウム濃度が高く、配合肥料の成分の改善など、マグネシウムとの塩基のバランスに留意した施肥管理を行う。
普通畑を除く各土壌では、下層部の硝酸イオンが高く系外への負荷が予想されるため、施肥量の低減、肥料資材や施用位置等の改善による効率的な施肥方法を積極的に行う。
[具体的データ]
図1 各土壌の交換性塩基濃度 (CaO)
図2 各土壌の交換性塩基濃度 (MgO)
図3 各土壌の交換性塩基濃度 (K2O)
図4 各土壌の深さ別水溶性アニオン濃度(NO3)
図5 各土壌の深さ別水溶性アニオン濃度(SO4)
表1 各土壌の深さ別、当比量
[その他]
研究課題名 |
:県内主要土壌の定点調査による地力監視と改善 |
予算区分 |
:国補 |
研究期間 |
:昭和1979〜(昭和54〜) |
研究担当者 |
:松本昌直、山本光宣、江本勇治 |
発表論文等 |
:なし |
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