トンネルスイカの高品質生産可能な省力整枝栽培方法


[要約]

スイカの主づるを4〜5本確保し、孫づるをほとんど切除せず遊びづるとして伸ばす省力的な整枝栽培を行うことによって、露地(小型トンネル密閉)栽培より着果が安定し、果実品質が向上する。

[キーワード] スイカ、省力、整枝
[担当] 新潟農総研・園芸研・栽培・施設科
[連絡先] 0254-27-5555
[区分] 関東東海北陸農業・北陸・野菜花き
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]

新潟県のスイカ栽培の大部分を占める露地栽培では、粗放的な管理により果実品質の低下が問題となっている。しかし、2本1果の整枝栽培にすべて移行するには、労力的に限界がある。そこで、露地栽培に近い労力で従来の整枝栽培に近い品質を得られる整枝栽培方法を確立する。

[成果の内容・特徴]

  1. 整枝の方法
    1. 仕立て方法は、5本仕立て3果どりとする(図1)。
    2. 主づる(子づる)と遊びづる(孫づる)に分ける程度で、遊びづるをほとんど除去しないため、従来の整枝栽培よりは、整枝作業が省力的である(図1表1)。
    3. 確実な玉管理が可能で、露地栽培より果実変形や黄帯も少なく、品質が向上する(表2)。
    4. トンネル内なので雨天時でも低温時でも着果が確実で、肥大が良い(表2)。
  2. 栽培方法
    1. アール当たり植え付け本数を30株とし、目標収穫玉数84〜90玉とする。株間を狭くすると肥大がやや劣る。(表3)。
    2. 果重と葉色に正の相関があり、露地栽培程度の施肥が必要である(データ略)。
    3. 草勢を確保して、3番花以上の雌花に着果させる。草勢が弱い場合は、一つ上の雌花に着果させる(データ略)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 株元側の遊びづるが繁茂し、病害発生の恐れがあるので、有孔ポリ等を敷く。
  2. 着果節の葉色が、収穫前10日以降も高いままで推移したり、つる先の節間の伸びが大きいと果実が変形しやすいので、収穫10日前頃に株元の遊びづるを踏みつける等の葉数制限をする。
  3. 多づる栽培のため、空洞果の発生が少ない品種を用いる。

[具体的データ]

図1 省力整枝栽培方法

[その他]

研究課題名

:省力・軽労化を目指した砂丘地トンネルの新しい技術体系の確立・園芸作物優良品種・種苗の選定・導入

予算区分

:県単

研究期間

:」1997〜2001年度

研究担当者

:江口喜久子、小田切文朗、田崎義孝

発表論文等

:なし


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