スイカの摘果作業が容易な振り分け栽培


[要約]

スイカを千鳥に定植して条ごとに同じ方向につるを誘引する振り分け栽培は、株当たりの着果数と着果位置を容易に把握できるため摘果等の果実管理が簡便となり、果重と品質のばらつきが小さく、上物収量が増加する。

[キーワード] スイカ、簡易整枝、振り分け、摘果、着果数
[担当] 石川農研・砂丘地農試・砂丘野菜科
[連絡先] 076-283-0073
[区分] 関東東海北陸農業・北陸・野菜花き
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]

経営面積が2haを超えるスイカの大規模経営では、整枝栽培は労力面で導入面積に限界があり、主に中型トンネルを用いた多づる栽培が行われている。この栽培方法では、つるが交錯して着果確認が困難であり、株当たり着果数の均一化が図れないことが高品質安定生産を阻む要因となっている。
そこで、最小限の追加労力で株単位の着果数を把握でき、高品質で安定生産が可能な栽培技術を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. 本技術の具体的な栽培法は次のとおりである(図1)。
    1. うね中央に設置したかん水チューブを挟んで千鳥に定植する。
    2. トンネルの換気穴から手を入れ、つるをトンネルと平行に誘引する。
    3. トンネル除去後、つる先をうねの側方に向かって斜め方向へ交互に振り分けて誘引する。
    4. 開花から20日までに株当たり3果に摘果する(図2)。
    5. その他の管理は、慣行多づる栽培に準ずる。
  2. 振り分け栽培における株間と株当たり着果数は、果重のばらつきが少なく上物収量が多い株間80cmの3果着果が適当である(表1図3)。
  3. 品質は慣行の多づる栽培と比べて果実糖度に差は見られず、黄帯果の発生は少ない。
    空洞果発生率は、収穫果全体では慣行の多づる栽培と差はないが、3L以下のサイズでは発生が少なくなる(表1図3)。
  4. 慣行の多づる栽培と比較して、トンネル内のつる誘引作業に10a当たり3時間30分を要するが、株当たりの着果確認が容易になるため摘果作業時間が6時間短縮される。

[成果の活用面・留意点]

  1. フィルム幅210〜240cmの中型トンネル作型に適応する。
  2. トンネル内の誘引作業が遅れるとつるが交錯するため作業性が劣る。

[具体的データ]

  

[その他]

研究課題名

:スイカの省力整枝技術の開発

予算区分

:県単

研究期間

:1997〜2001年度

研究担当者

:斉田善一、松本 淳、橋本 尚、福岡信之

発表論文等

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