熱水少量処理によるホウレンソウ萎凋病防除


[要約]

夏季のホウレンソウ栽培において被覆肥料を施用、耕起、畦立後に90度の熱水を60L/平方メートル処理し、直接播種することで化学農薬と同等の萎凋病防除効果、収量が得られる。

[キーワード] 熱水消毒、熱水少量処理、ホウレンソウ萎凋病、被覆肥料
[担当] 福井農試・園芸バイテク部・野菜研究グループ・生産環境部・病理研究グループ
[連絡先] 0776-54-5100
[区分] 関東東海北陸農業・北陸・野菜花き、関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]

化学農薬の使用削減に関心が高まる中、化学農薬を使用しない土壌病害防除法として熱水消毒法が普及しつつある。しかし、多量の熱水を処理するため、薬剤処理と比較して時間と経費が著しく高くなる。そこで、比較的土壌の浅い部分を消毒すれば回避できるホウレンソウの萎凋病に対して、被覆肥料施用・耕起・畦立後に熱水少量処理を行った場合の防除効果を検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. 熱水処理の手順
    被覆肥料施用・耕起・畦立→熱水潅注資材配置・保温資材被覆→熱水処理→保温資材、熱水潅注用資材除去(処理翌日)→畦表面乾燥→播種→収穫
  2. 地下15cmの地温が25〜30度程度の時期には90度の熱水を40L /平方メートル、15度程度の時期には60 L/平方メートル処理すれば、ホウレンソウ萎凋病菌の死滅に有効とされている地温を確保できる(表1)。
  3. 投入する熱量を同一とした場合、熱水温度は高い方が、また、被覆資材はシルバーシート等の保温性に優れる方が地温確保に有効である(表1)。
  4. 被覆肥料を90度の熱水で1時間浸透しても、溶液の電気伝導度に大差がなく、溶出に大きな影響はない(表2)。
  5. 施肥畦立て後に90度の熱水を従来の約半量にあたる60 L/平方メートル処理すれば、クロルピクリン処理と同等の防除効果、収量が得られる(図1)。

[成果の活用面・留意点]

熱水少量処理のコスト試算では、償却費と燃料費を合わせて10a当たり38,000円〜57,000円程度となり、クロルピクリン処理と同等〜1.5倍程度である。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名

:丘陵地等畑作地帯における野菜の新規作型開発

予算区分

:県単

研究期間

:2000〜2001年度

研究担当者

:竹内将史、本多範行、大ア隆幾

発表論文等

:施肥畦立後の熱水少量処理によるホウレンソウ萎凋病防除、平成13年度園学北陸支部要旨、2001


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