ナミハダニの加害がリンゴの葉の同化機能および果実品質に及ぼす影響


[要約]

ナミハダニの加害によってリンゴの葉の水分含量およびクロロフィル量が減少し、光合成速度が低下する。果実品質においては、糖度と着色の低下が認められる。

[キーワード] リンゴ、ナミハダニ、光合成速度、糖度、着色
[担当] 富山農技セ・農業試験場・病理昆虫課
[連絡先] 076-429-5249
[区分] 関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]

現在、リンゴにおけるナミハダニの防除は定期的な殺ダニ剤散布によって行われているが、薬剤抵抗性ハダニの出現を避けると同時に環境負荷や防除経費を低減する上で、防除要否の判定基準に基づく防除の合理化が求められている。そこで、リンゴにおけるナミハダニの被害許容水準を策定する際の基礎資料を得るために、本種の加害がリンゴの葉の同化機能および果実品質に及ぼす影響について解析する。

[成果の内容・特徴]

  1.  ナミハダニの加害によるリンゴの葉の被害度を葉裏の色等の変化から5段階に分類した(表1)。葉あたり延べ寄生ハダニ数(葉あたり寄生ハダニ数×日数)と葉の被害度との間には有意な正の相関が認められる(図1)。
  2. 葉の水分含量およびクロロフィル量は、葉の被害度が2または3以上になると被害度0の健全葉に比べて有意に低下する(表2)。
  3.  光合成速度は、葉の被害度が3以上になると被害度0の健全葉に比べて有意に減少する(表2)。
  4. 果実品質調査の結果、ナミハダニの加害による果実重や硬度への影響は認められないが、糖度や着色に関係する品質の低下が認められる(図2図3)。

[成果の活用面・留意点]

  1.  リンゴにおけるナミハダニの被害許容水準を策定する際の基礎資料となる。
  2. 試験樹には、マルバカイドウを根系とし、わい性台木M9を中間台に使ったふじを用いている。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :リンゴにおけるナミハダニの被害解析
予算区分 :県単
研究期間 :1998〜2002年度
研究担当者 :青木由美、古川静子1)、松崎卓志2)(1)高岡農改セ、2)新川農改セ)
発表論文等 :リンゴにおけるナミハダニの被害許容水準
  第45回日本応用動物昆虫学会大会講演要旨(2001)

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