ラピッドビスコアナライザーによる酒米消化性の簡易評価法
[要約]
新規開発した酒米プログラムを用いたラピッドビスコアナライザーの測定で得た糊化開始温度と従来の消化性試験のブリックス値との間に、-0.80以上の負の相関がある。本方法は、迅速かつ簡便な酒米の醸造適性評価法として利用できる。
[キーワード] |
酒米、ラピッドビスコアナライザー、糊化開始温度、消化性、ブリックス |
[担当] |
石川農研・生産環境部・農産加工科 |
[連絡先] |
076-257-6976 |
[区分] |
関東東海北陸農業・北陸・流通加工 |
[分類] |
科学・参考 |
[背景・ねらい]
醸造適性を評価する国税庁所定法は、70%精米を用いて測定時間が72時間必要であり、酵素処理などの高度な分析技術も必要である。そこで、より簡便かつ迅速に酒米の醸造適性を評価できる評価法を開発する。
[成果の内容・特徴]
- 国税庁所定法によって消化性試験のブリックス値を測定するには、アミラーゼ酵素 処理と測定に72時間を必要とするが、独自に開発した新規酒米プログラムを用いたラピッドビスコアナライザー(RVA)測定は22分で十分である(図1)。
- ブリックス値と新規酒米プログラムを用いたRVA測定により得られる酒米糊化特 性値(最高粘度、最終粘度、ブレークダウン、コンシステンシー、糊化開始温度(R VAGT))との相関を搗精歩合別に比較したところ、搗精歩合70%、90%共にRVAGTとブリックス値との間には-0.80以上の負の相関がある。また、消化性試験では、高度搗精(70%)した米が必要であるが本法では、90%搗精の試料が利用可能なため試料調整も簡便である(表)。
- 酒米を作型別に比較すると晩生品種はブリックス値が高く、RVAGTが低い傾向がある(図2)。
[成果の活用面・留意点]
- 酒米の消化性試験のブリックス値推定のための簡便法として有効である。
- RVAGTのみを測定するためには、最高粘度が得られる10分に測定時間を短縮できる。
- 市販の粳米測定用プログラムでは、酒米消化性の簡易評価はできない。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名 |
:大吟醸酒用の酒米品種開発と生産技術開発研究 |
予算区分 |
:県単 |
研究期間 |
:1998〜2001年度 |
研究担当者 |
:三輪章志、林美央 |
発表論文等 |
:なし |
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