青果物購買時における食品情報処理パターンとその特徴


[要約]
青果物購買行動は、品目選択行動と1品目内での商品選択行動から構成されており、そこでは、いくつかの食品情報を参考にしている。また、商品の売り方(包装状態、販売単位)によって商品選択行動の際に参考にする表示情報の種類と回数が異なっているものの、商品選択行動の最初に陳列棚表示を確認する行動と、表示だけでなく商品そのものを確認することは共通している。

[キーワード] 青果物購買行動、店頭実験、アイカメラ、プロトコル、動線

[担当]中央農研・経営計画部・マーケティング研究室
[連絡先]電話 0298-38-8851
[区分]関東東海北陸農業・経営
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 生産履歴情報を含む青果物の情報を消費者に提供する際には、購入時に消費者が必要とする食品情報を的確に把握しておく必要がある。そこで、消費者がスーパーで実際に青果物を購入した時の発話(プロトコル)、店内移動(動線)、視点の動き(アイカメラ)を用いて店舗内における青果物購買行動の特徴とそこでの食品情報処理パターンを明らかにした。なお、調査対象者は、対象店舗にて日頃買い物をしている30代〜50代の女性である。

[成果の内容・特徴]
1. 店舗内での青果物購買行動は、品目選択行動と1品目内での商品選択行動から構成されている(図1)。品目選択行動と商品選択行動を1サイクルとした場合に、1回の青果物の買い物は平均11.8サイクルであり、そこで費やされる時間は平均12分36秒である。
2. 品目選択行動は、基本的にコーナーからコーナーへの移動時に行われており、そこでは青果物の在庫情報、献立情報、商品知識情報、店頭表示情報を基に購入する品目を決定している。その後、コーナーに立ち止まって商品選択を行っており、そこでは商品情報(商品そのものの鮮度、形など)、包装表示情報、店頭表示情報、献立情報、在庫情報、商品知識情報を基に、その商品を購入するか否かを決定している(図1)。
3. 商品の売り方(包装状態、販売単位)によって商品選択行動の際に確認する表示情報の種類と回数が異なっている。袋売り(パターン1)では、包装表示より店頭表示を多く確認しているが、グラム売り(パターン2)では、店頭表示より包装表示を多く確認している傾向がある。ばら売りの場合(パターン3)は、最終的に購入する商品を決定するために外観品質等の商品そのものを確認する回数が多く、他のパターンと比べて、表示を確認する頻度が少ない傾向にある(表1)。
4. ただし、いずれのパターンにおいても、商品選択行動の最初に店頭表示を確認する行動と、表示だけでなく商品そのものを確認する行動が共通して見られた(表1)。
5. 消費者は、POP(価格情報のない表示)と比較してプライスカード(価格情報のある表示)をよく確認しており、そこでの情報をよく記憶している(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 店頭における青果物購買行動を解明するための基礎データとして利用できる。
2. 表示および商品を確認する回数は、購入する際に検討する品目数、購入量、および個人の特性によっても異なる点を留意する必要がある。

[具体的データ]


[その他]

研究課題名:都市近郊青果物産地における販売戦略策定支援手法の開発
課題ID:03-03-03-01-02-03
予算区分:交付金
研究期間:2002〜2005年度
研究担当者:大浦裕二、河野恵伸、中嶋直美(茨城県農業総合センター)


目次へ戻る