ごみ詰まりのない挿入形管水路流量計


[要約]
棒状電磁流速計を管水路側壁部から管内へ横方向に挿入して、センサの直上流側にセンサ径より薄い直角三角形状のガイド板を設置し、実測流速、流速補正係数、管水路断面積との演算によって、ごみ詰まりのない高精度な管水路流量計を開発した。

[キーワード]棒状電磁流速計、ガイド板、流速補正係数、管水路流量計

[担当]愛知農総試・環境基盤研究部・農業工学グループ
[連絡先]電話 0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・作業技術
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]
 農業用水路は水資源の有効利用や水質保全のため管水路化されるのが多く、管水路の流量把握は水管理操作上重要なことである。しかし、流量計自体が高価であるため取り付け箇所が限定されたり、既設流量計の更新にも多大な費用がかかる。
管水路流量計として棒状電磁流速計を管頂から挿入する挿入型流量計が市販されているが、管頂部でのエアーの通過が測定を不安定にさせると共に、突出したセンサに浮遊ごみが絡んで測定不能となるので、これらの問題点を解決する。

[成果の内容・特徴]
1. 使用した棒状電磁流速計は、口径6mmの棒先端にある一対の電極の磁界中を通過する流水の流速を測定しており、局所的な点測定を行うため、管内平均流速を示す位置を特定する必要がある。管内平均流速を示す位置は管内壁から中心方向に内径に対する割合で示すと、実測から塩ビVU管100Aでは30%、150Aでは24%、200Aでは20%となる(図13)。
2. 従来の挿入型流量計は突出したセンサに浮遊ごみが絡んで測定不能となるが、挿入センサの直上流側に直角三角形状のガイド板を設置することにより、ごみ詰まりを防止することができる。ガイド板の厚さはセンサ径よりも薄くし、上流端角度は、透明アクリル管内に20°と30°のガイド板を設置してごみ詰まり状況を目視で確認したところ、20°が良い(図4)。
3. 棒状電磁流速計センサの取り付けは、エアーが通過する管頂と沈殿ごみが通過する管底を避けるため、管水路側壁部とする。
4. 挿入型流量計の器差は0.6m/s以下の低流速で非常に大きくなるので(図2)、流速補正係数αの演算回路を組み込むことにより±10%以内の高精度な管水路流量計として使用できる。なお、塩ビVU管200Aの挿入位置20%でのガイド板付き流速補正係数αは、α=4.71×e-13.88V+1.034(V:棒状電磁流速計流速 m/s)となる。
5. 挿入型流量計における挿入センサ及びガイド板による圧力損失はほとんどない(図省略)。

[成果の活用面・留意点]
1. 10万円程度の安価な棒状電磁流速計が市販予定であり、安価で高精度な管水路流量計が実現できる。特に、大口径流量計に対しては経済的に有利となる。
2. 250mm以上の口径については挿入位置と流速補正係数を確認する必要がある。

具体的データ]




[その他]

研究課題名:農業施設の省力維持管理と低コスト更新技術
予算区分:県単
研究期間:2003年度
研究担当者:鈴木博之、榊原正典
発表論文等:特許出願中


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