コンテナ式乗用型摘採機用収量モニタ


[要約]
開発したコンテナ式乗用型摘採機の収量モニタは、摘採葉収容コンテナの質量をロードセルで計測するとともに摘採距離を同時に計測し、液晶パネルに収穫量、積算収穫量、摘採距離、積算距離を表示する。本装置の収量計測誤差は6%以下である。

[キーワード]チャ、乗用型摘採機、収量モニタ

[担当]野菜茶研・茶業研究部・作業技術研究室
[連絡先]電話 0547-45-4654
[区分]野菜茶業・茶業、関東東海北陸農業・作業技術、共通基盤・作業技術
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]
 大型の共同製茶施設では、茶葉を持ち込む農家に対して収穫割当量を定めるケースが増えている。特に乗用型摘採機では収穫量の把握が困難であるため、作業中に収穫量を計測する手段が求められる。また、茶園ごとの収穫量を指標としてきめ細かな茶園管理を行うためには、茶園ごとの収穫量と同時に、摘採した距離をあわせて取得し、単位面積あたりの収量を正確に把握する必要がある。そこで、収穫量と積算収穫量、および摘採距離と積算距離を表示する乗用型摘採機用収量モニタを開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 収量モニタは、コンテナ式乗用型摘採機(供試機K社製KJ-8C)に搭載し、収穫量計測機構、走行距離計測機構、コントローラおよび表示部からなる(図1)。
2. 収穫量計測機構は、摘採茶葉収容コンテナを懸架する左右のワイヤに取り付けるS字型ロードセル(A社LC-1205-K500.定格容量4.90kN)で構成され、ワイヤに懸かる張力からコンテナの質量を計測し、摘採中の増加分から収穫量を求める。コンテナはワイヤによりコンテナ支持フレームに沿って昇降し、排出動作を行う。
3. 走行距離は、左右2系統の駆動用油圧回路に装着する走行距離計で計測し、左右の平均値から算出する(図2)。走行距離計は、小型油圧モータに直結するロータリエンコーダにより駆動用油圧回路の流量から駆動用油圧モータの回転数を検出する。走行距離計は、既存の油圧回路へ装着でき、また取り付け位置の制約が少ない。
4. ロードセルおよび走行距離計の出力はコントローラに入力され、収穫量、走行距離の算出後、液晶パネルに表示される(図3)。同時に表示される積算収穫量と積算距離は、作業中でも随時リセットできる。収穫量の計測は、刈刃を動作させることで開始し、摘採中は常時表示内容を更新するとともに内部メモリへ記録できる。また、パネル操作により、手動で計測の開始・停止を行うことや、風袋引き操作ができる。
5. 圃場試験で確認したモニタ指示値の実収穫量に対する計測誤差は最大で±6%である(図4)。走行距離の計測精度は、通常の茶園土壌では履帯にすべりが生じないため、誤差が0.25%と高い精度を有する。これにより、単位面積あたりの収量が正確に把握できる。

[成果の活用面・留意点]
1. 作業中は、積算収穫量を確認することで、収穫割当量へ対応できる。
2. 機体の傾きが収穫量の計測精度へ影響するため、ロール角・ピッチ角とも5度以下の条件で使用しなければならない。
3. 収量モニタは、供試機と同型の乗用型摘採機の特別仕様として入手可能である。

[具体的データ]




[その他]

研究課題名: 可変施肥機及び作業技術の開発
課題ID: 11-03-01-01-06-01
予算区分: 交付金プロ「精密畑作」
研究期間: 2003〜2007年度
研究担当者: 深山大介、荒木琢也、宮崎昌宏、野崎智洋(カワサキ機工株式会社)
発表論文等:
1)深山ら(2002) 特願2002-053493


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