豆腐粕(発酵・乾燥)の飼料添加による産卵性への影響


[要約]
豆腐粕は採卵鶏用飼料として活用でき、既存の市販飼料の15%を乾燥豆腐粕に代替しても産卵成績は変わらない。また、発酵豆腐粕では、粗タンパク質(CP)とメチオニン含量の低下により産卵性が低下するが魚粉を添加することで改善できる。

[キーワード]採卵鶏、豆腐粕、魚粉添加、産卵性

[担当]山梨畜試・養鶏科
[連絡先]電話 055-273-6441
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 食品の副産物である豆腐粕(おから)は、現在多くが産業廃棄物として処理されているが、家畜の飼料としての利用が可能となれば生産費の低コスト化と食品副産物のリサイクルが可能になる。そこで、採卵鶏の市販飼料に好気発酵や乾燥によって水分調整をした豆腐粕を配合した場合の産卵性を調査する。

[成果の内容・特徴]
1. 産卵成績は、発酵豆腐粕15%配合飼料区において市販飼料区よりも日産卵量・産卵率が低下する傾向が認められるが、魚粉添加によって改善される。一方、乾燥豆腐粕15%配合飼料区では市販飼料区と差がない(表1表2)。また、飼料要求率は発酵豆腐粕15%で高くなったが魚粉添加によって市販飼料区と同様な成績を示す。
2. 鶏卵1kgあたりの飼料費は発酵豆腐粕15%で56円、魚粉添加区で55.1円、市販飼料区で59.5円、乾燥豆腐粕15%で45.5円で豆腐粕を配合した場合の方が市販飼料区よりも安く抑えられる。また、規格卵の割合や軟破損卵率およびザラ玉比率も市販飼料と比べて差がない(表3)。
3. 卵殻強度および卵黄/卵重比は、発酵・乾燥豆腐粕15%配合飼料区で市販飼料区と比較してやや低下する傾向がみられたが、魚粉添加によって改善される(表4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 採卵鶏農家において豆腐粕のリサイクルが可能になる。
2. 豆腐粕の使用によって飼料要求率が下がり体重が減少することがある。
3. 豆腐粕の攪拌はバルク車内で混ぜるなどの工夫が必要である。


[具体的データ]





[その他]
研究課題名:高品質鶏卵生産のための飼養管理技術の確立
予算区分:県単
研究期間:1998年〜2002年
研究担当者:井室由紀、松下浩一、小林政雄、塩島敏夫
発表論文等:山梨畜試研報49号(掲載予定)

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