ニホンナシ「南水」の日焼け果発生軽減技術


[要約]
ニホンナシ「南水」の日焼け果は、横から下向きの果台に着果させるとともに、遮光率を慣行果実袋より20%程度高めた改良果実袋を利用することにより、発生が軽減される。なお、改良果実袋は果面汚染と黒斑病被害の軽減効果も高いため商品化率が向上する。

[キーワード]ニホンナシ、南水、果実袋、日焼け果、黒斑病、果面汚染

[担当]長野南信農試・栽培部
[連絡先]電話 0265-35-2240
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 ニホンナシ「南水」は長野県のオリジナル品種であり、現在県内での栽培面積は173haである。黒斑病防除のため有袋栽培が基本であるが、ここ数年は日焼け果や果面汚染の発生による格外品率増加が問題となっており、特に高温年の日焼け果多発は深刻で対策技術の開発が強く望まれている。そこで、着果位置と日焼け果発生の関係を明らかにするとともに、改良果実袋の使用による発生軽減効果について検討した。

[成果の内容・特徴]
1. 日焼け果は、収穫時に果実が上向きに着果している場合に著しく発生率が高い(図1)。
したがって、横から下向きの果台に着果させることで発生を軽減できる。
2. 改良果実袋は純白紙内茶印刷のワックス一重袋で、慣行果実袋より遮光率を20%程度高くしたものである。これを用いることで、慣行果実袋に比べ日焼け果の発生、特に格外品となる重度の日焼け果の発生を顕著に抑制できる(図2)。
3. 改良果実袋を用いた場合、慣行果実袋に比べ、こうあ部地色の退色が早くなり果皮色の進み方が早くなる一方、ていあ部の地色の退色は遅くなる。また、成熟が若干遅くなる傾向がある。その他の果実品質では差異は認められない(表1)。なお、冷蔵後の果実品質については差異は認められない(データ省略)。
4. 改良果実袋は果面汚染や収穫時の黒斑病被害に対しても慣行果実袋以上の軽減効果が認められ、日焼け果発生軽減効果とともに商品化率の向上に有効である(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. せん定時の芽すぐりでは、なるべく横向きの短果枝を残す。
2. 改良果実袋(K社製)は、縦18.9×横16.5cmの大きさであるが、同じ材質で小型(縦17.5×横15.0cm)の改良果実袋も同様の効果が期待できる。
3. 改良果実袋は慣行果実袋と比較して、ていあ部の果皮に緑色が残りやすいため、収穫期の判断には注意し、各産地で統一を図るため収穫前の目揃えを行う。。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:「南水」の栽培体系確立試験
予算区分:県単
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:小川秀和、山近龍浩、船橋徹郎、泉克明

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