カーネーションの2年切り栽培における適品種と栽培技術


[要約]
2年切り栽培において、スタンダード系品種では「フェアリーピンク」等、スプレー系品種では「ライトピンクバーバラ」等の計6品種が有望である。また、反射マルチによる定植株数の削減、点滴型チューブ灌水による切り戻し後の株枯れが抑制でき、低コスト安定生産につながる。

[キーワード]カーネーション、2年切り栽培、品種選定、栽植密度、灌水、低コスト

[担当]茨城農総セ園研・花き研究室
[連絡先]電話 0299-45-8341
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
切花カーネーションの経営は、市場価格が低迷している中で厳しいものとなっている。一方、種苗費が経営費に占める割合は、20%前後と他品目に比べて非常に高いため、種苗費削減を図ることが経営安定に有効である。そこで、据え置き株を利用した2年切り栽培に適した品種を選定するとともに栽培の安定化を図る。

[成果の内容・特徴]
1. 購入苗を7月上旬に6株植え(株間20cm条間10cm)で無マルチの80cmベッドに定植した。翌年5月末日まで周年栽培を行い、これを1年目とした。そして、定植翌年6月中旬に株元から15cmで切り戻しを行い、7月下旬に株あたり6本に整枝し、翌々年5月末日まで栽培し、これを2年目とした。
2. 2年目の収量は生存株率が影響するが、総じて1年目収量が多いほど2年目も多い傾向にあるため、1年目収量で2年切りへの適性が判断できる(表1)。
3. 切花長は品種特性に依存するところが大きく、栽培年数の影響は小さい(表1)。
4. スタンダード系品種では、定植2年目も3.3m2あたり400本以上の収量が得られ切花長が70cm以上の、「フェアリーピンク」、「ネルソン」、「カトリーナ」がこの順で有望である。
5. スプレー系品種では、定植2年目も3.3m2あたり400本以上の収量が得られ切花長が65cm以上の、「ライトピンクバーバラ」、「ベリー」、「ボサンスカ」がこの順で有望である。「スカーレットキック」は側枝が横に張り草姿が悪く、「カメレオン」は軟弱なため、営利栽培に適さない(データ省略)。
6. 反射マルチを用いることで、3〜4株植えでも収量は無マルチの6株植えより多くなる(図1)。
7. 点滴型チューブを用いた灌水区は、慣行の散水型チューブを用いた灌水区より切り戻し後の株枯れが約10%減少し、増収する(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 暖地型の周年栽培作型に適応する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:カーネーションの2〜3年切り栽培技術の確立
予算区分:県単
研究期間:1998〜2002年度
研究担当者:市村勉、本図竹司、高城誠志、浅野昭
発表論文等:
1)市村ら(2001)茨城園研報9:17-22.
2)市村ら(2002)茨城園研報10:22-28.
3)市村ら(2003)茨城園研報11:32-36.

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