植栽後の観賞性によるマット植物の分類


[要約]
マット植物の植栽種選択及び生産品目の選定に資するため、マット化が可能であったグランドカバープランツ、イソギク他30種46品種を、盛夏期の定植後から活着までに要する期間、被覆程度及び観賞性に基づき、5つのグループに分類した。

[キーワード]マット植物、グランドカバー、植栽、活着、被覆

[担当]神奈川農総研・生産技術部
[連絡先]電話 0463-58-0333
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 マット植物は敷き詰める様に植栽することにより、植栽後早期に観賞性が高い緑化面を形成することができる新たなグランドカバープランツの商品形態である。
一方、マット植物は、種・品種によって活着の容易さや、各定植場所への適応性が異なる。これらは定植後活着までに要する期間の長短と相関があることが示唆されている。そこで、活着までに要する期間、被覆程度及び観賞性に基づいた分類を行い、適正利用及び生産種決定のための指標とする。

[成果の内容・特徴]
1.  8月に耕運後整地した圃場に1×1mの植栽スペースを区切りその中央部分に25cm角のマット2枚を隣接させ定植し、灌水は定植時以外は行わず管理し、供試植物を活着までに要する期間、定植翌年春及び秋季の被覆程度及び定植期間中の観賞性に基づき以下の5グループに分類した(表1)。
 A 被覆程度が高い 活着期間が短い 草姿に乱れが無い マット内被覆が良好
  イワガラミ、コトネアスター、ジプソフィラ レペンス、
  シモツケ「マジックカーペット」、スイカズラ、センチピートグラス、
  タイム「キャラウェイ」、ユキヤナギ、リッペア レペンス、ルブス カリシノイデス、ローズマリー「枝垂れ」
 B 被覆程度が低い 活着期間が短い 草姿に乱れが無い マット内被覆が良好
  クチナシ、テイカカズラ「ホソバフイリ」、ハイネズ「ブルーパシフィック」、ヒメウツギ
 C 活着期間が長い 草姿に乱れが無い マット内被覆が良好
  アベリア「エドワードゴーチャー」、イヌツゲ「ヒレリ」、オオバジャノヒゲ、
  ヘデラ カナリエンシス、ヤポン「枝垂れ」
 D 草姿に乱れがある マット内被覆が良好
  イソギク、アキレア「サマーパステル」、ハイシマカンギク
 E マット内被覆が不良または一部不良
  アベリア「コンフェッティ」他19種24品種

[成果の活用面・留意点]
1. 利用場面に応じた植物種選定の指標となり、生産品目の決定時の指標ともなる。
2. 植物種間の反応の違いを見るために、定植時期は不適期と考えられる盛夏に行っている。本試験で被覆状況が不良である種を利用する場合は、植栽時期及び管理方法に留意が必要である。


[具体的データ]

z:分類 A 活着期間1または2、被覆程度3または4、マット内被覆3または4、草姿に乱れが無い
B 活着期間1または2、被覆程度1または2、マット内被覆3または4、草姿に乱れが無い
C 活着期間3または4、マット内被覆3または4、草姿に乱れが無い
D マット内被覆3または4、草姿に乱れがある
E マット内被覆1または2
y:活着期間 植栽面への根の伸長程度を1週間毎に調査し、手で押して移動しない程度に達した時点で活着とした
活着までに要する期間が1 0〜2週間 2 2〜4週間 3 4〜8週間 4 8週間以上
x:被覆程度 25×50cmの設置時を1とした投影の被覆面積倍率を調査した
被覆面積倍率が1 0〜1倍 2 1〜1.5倍 3 1.5〜2倍 4 2〜5倍 5 5倍以上
w:マット内被覆 25×50cmの設置部分の被覆状況を目視にて調査した
1 不良 2 一部不良 3 良 4 優良

[その他]
研究課題名:早期緑化のためのマット植物の効率的生産技術の開発
予算区分:国庫助成
研究期間:1999〜2002年度
研究担当者:相原朋之、原靖英、堀越禎一

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