ネギ平床二条穴開け移植機に適したセル成型苗の育苗管理


[要約]
448穴セルに1粒まきで直置き育苗したセル成型苗を用いる新しいネギ平床二条穴開け移植機の利用により、90%以上の適正植付け率を確保できる。また、慣行平床手植えに比べ、移植作業時間が20%程度と大幅に削減され、作業強度も軽減できる。

[キーワード]ネギ、平床二条植え栽培、平床二条穴開け移植機、セル成型苗

[担当]埼玉県農総研・園芸研究所・露地野菜担当
[連絡先]電話 049-285-2206
[区分]関東東海北陸農業・野菜、作業技術
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 埼玉県北部の沖積土壌地帯のネギ産地では、生産安定、作業の簡素化を目的に、平床二条植え栽培が急速に広まっているが、定植作業は作業強度の大きい手作業で行われており、軽労化と規模拡大に対応した作業の効率化が求められている。近年、手作業に代わるネギ平床二条穴開け移植機の開発が進んでいることから、植付け精度を向上できる育苗技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. ネギ平床二条穴開け移植機は、平床に円柱状の穴を二条(条間10cm×株間5cm、深さ5〜11cm)に開け、そこへセル成型苗を1本ずつ落として移植する機械である。機械の走行速度は150m/h、10a当たり作業時間は9〜12時間で、慣行の手植えに対し、作業時間を20%程度と大幅に削減でき、作業強度の軽減も図れる(図1)。
2. 平床移植機による植付け精度は、448穴に1粒まきセル成型苗育苗とし、葉長13cm程度、地上部重/根鉢重比率が0.2〜0.3の苗に調整することで、適正植付け率90%以上と高い精度で定植できる(図2)。
3. セル成型苗の育苗法は、育苗期間の短縮、灌水管理の省力化、葉鞘長が確保され深植えが可能となること等の理由から、地中に根を張らせる直置き育苗が適当である(表1)。
4. セル成型苗平床二条移植栽培は、チェーンポット苗溝底移植栽培に比較し、総収量、L以上収量ともに優れ収益性が高い(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. セル成型苗の育苗期間が長くなりすぎると、地上部重/根鉢重比率が0.4以上と高くなり、植付け精度が低下することから適期移植を心がける。
2. 移植時、苗は市販の固化剤で根鉢を固め、速やかに移植する。
3. 移植時の土壌条件は、植付け穴の崩壊を防ぐため適湿条件下が望ましいが、乾燥した土壌でも耕起後鎮圧することで植付け精度を向上できる。
4. 平床二条移植栽培は溝底移植栽培に比較し充分な軟白長が得られにくいため、畝間を広げ、培土回数を増やす等の管理対策が必要である。
5. 移植機は平成16年4月以降、武蔵工業有限会社(群馬県伊勢崎市)から市販予定。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:関東地域を中心としたネギ生産における高品質化、周年安定化技術の確立
予算区分:国庫補助「平成14年度 先端技術等地域実用化研究促進事業」
研究期間:2002〜2003年度
研究担当者:岩崎泰史

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