窒素肥料の施用量の削減が茶新芽に及ぼす影響


[要約]
茶栽培において、窒素施用量を同じ資材、同じ配分で、10a当たり60kgから45、30及び15kg/10aまで一律に減少させると、30kg以下では新芽の芽数、百芽重及び芽長が低下する。新芽中の成分は45kg以下でアミノ酸が減少し、タンニンが増加する。

[キーワード]チャ、窒素施用量、施肥削減、新芽、化学成分含有率

[担当]神奈川農総研・津久井試験場
[連絡先]電話 0426-85-0203
[区分]関東東海北陸農業(茶業)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 茶栽培では環境負荷の観点から窒素施用量の削減が求められている。そこで、窒素肥料を単純に量だけ減少させた場合に茶新芽に及ぼす影響を調査し、施肥削減のための資料とする。

[成果の内容・特徴]
1. 窒素施用量は、60kg/10aから15kg刻みで15kg/10aまでの4段階として比較している。使用している窒素肥料は各区とも同じ資材(硫安及び被覆尿素)を施用し、各施肥時期の窒素肥料の配分割合も各区とも同じである。
2. うね間土壌中の無機態窒素量は、使用した窒素肥料の資材、施肥の配分が同じため、窒素施用量に準じて推移している(図1)。
3. 一番茶では、窒素施用量を30及び15kg/10aまで減少させると、新芽の芽数、百芽重及び芽長が低下する(図2)。
4. 荒茶の化学成分含有率は、窒素施用量を45、30、15kg/10aまで減少させると、一、二番茶とも、新芽のアミノ酸の値が低く、タンニンの値が高くなる(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本資料での結果は、すべての窒素肥料の資材で当てはまるとは言えないので注意する。
2. 本資料では、単純に窒素肥料の量の検討だけを行っている。そのため、減肥を進めていく上では、今後窒素の施肥配分や資材の検討が必要である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:足柄茶の適正施肥量の検討
予算区分:県単
研究期間:1998〜2002年度
研究担当者:長門 渉
発表論文等:長門(2001)茶研報92(別):124-125

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