小麦「イワイノダイチ」の高位安定栽培法


[要約]
イワイノダイチの播種適期は、農林61号と同様標準播の時期である。播種量は標準量の200粒/m2から3割減の140粒/m2で差がなく、基肥窒素施肥量は農林61号より6〜7割程度の増肥がよい。

[キーワード]イワイノダイチ、窒素施肥量、播種量、播種時期

[担当]栃木農試・作物経営部・作物研究室
[連絡先]電話 028-665-7076
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物(冬作物)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  バンドウワセに替わる製粉・製麺適性に優れた早生品種として2000年に県の奨励(認定)品種に採用されたイワイノダイチは、現在(2003年産)279ha作付けされている。今 後実需者の品質評価を踏まえ、県内小麦生産地帯に生産の拡大(2006年産500ha目標)を 図るに当たり、播種時期、窒素施肥量、播種量を中心にイワイノダイチの高位安定栽培法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 早播では出穂期・成熟期の前進化が図られるものの、子実重、粗蛋白質含有率の低下が見られ、また晩播では子実重、品質は維持できるものの、成熟期が遅れることから、播種時期は農林61号と同様10月第6半旬から11月第1半旬の標準播が適する(表1)。
2. 播種量の多少による穂数、子実重の増減は見られないことから、播種量は標準量の200粒/m2から3割減の140粒/m2でも収量への影響は小さい(表2)。
3. 基肥窒素施肥量の増肥により子実重・千粒重は増加するが、倒伏は見られず、品質・等級の低下も見られないことから、基肥窒素施肥量は農林61号より6〜7割増の1.5kg/a程度が適当である(表2)。
4. 以上の結果、イワイノダイチの高位安定栽培法は、播種量を標準量の200粒/m2から3割減の140粒/m2程度内で播種する。基肥窒素施肥量は農林61号より6〜7割増の1.5kg/a程度とする。播種適期は10月第6半旬から11月第1半旬の標準播である。

[成果の活用面・留意点]
1. 転換初年目(前作:水稲)の多湿黒ボク土(土性:埴壌土)での試験結果である。灰色低地土での栽培については、2002年度の研究成果情報:小麦「イワイノダイチ」の高品質安定栽培技術の確立を参照。
2. 播種量を重量で表す場合には千粒重を求めて換算する必要がある。
3. 栽培様式はドリル播(畦巾30cm)である。 [具体的デ−タ]


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:栃木県における小麦新品種の品質・収量安定化栽培技術の開発
予算区分:国庫(受託)
研究期間:2000〜2002年度
研究担当者:相吉澤秀夫

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