交雑種肉用牛のための植物性食品製造残さの飼料化


[要約]
植物性食品製造残さを原料とした飼料を市販配合飼料に25%〜50%混合して、交雑種肉用牛への給与を行うと、市販配合飼料と比較して飼料摂取量、発育状況で差は認められず、枝肉成績もほぼ同等となり、交雑種肉用牛の飼料としての可能性が認められる。

[キーワード]食品残さ、高温発酵乾燥、残さ飼料、肉用牛

[担当]神奈川畜研・畜産工学部・大家畜グループ
[連絡先]電話046-238-4056
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 食品リサイクル法により、食品関連業者に対して食品廃棄物の再利用化が求められている。一方、肉用牛農家にとって飼料代の低減は経営上大きなメリットとなる。
 そこで植物性食品製造残さを用いて飼料化処理を実施し、交雑種肉用牛に対して給与試験を実施することにより飼料としての可能性を検討する。

[成果の内容・特徴]
 原物重量割合でパンくず40%、野菜くず35%、ごはん10%、ふすま15%を混合し、80℃にて5時間高温発酵乾燥処理したものを食品残さ飼料とする。これを市販配合飼料に50%混合する区(50%区)、同25%混合する区(25%区)及び市販配合飼料のみの対照区の3区を設け、同一種雄牛の交雑種肉用牛を各区3頭用いて、7〜26ヶ月齢の間給与する。
1. 各区の濃厚飼料成分を表1に示す。NDFの割合は肥育前期において50%区、25%区、対照区の順に高、中、低である。その他の成分については各区ほぼ同様である。
2. 粗飼料、濃厚飼料およびTDNの1日あたりの乾物摂取量を表2に示す。いずれも区間に有意差は見られず、全期を通してほぼ同様の摂取量である。
体重および1日増体量の推移を表3に示す。いずれも区間に有意差は見られず、各区ほぼ同様の推移を示している。
3. 枝肉成績では50%区が最も肉質等級がよく、区間に有意差は見られないものの50%区がロース芯面積、バラ厚も他区を上回る値である。しかし、皮下脂肪も厚くなる傾向が見られる(表4)。
4. 食品残さ飼料を交雑種肉用牛に給与する場合、少なくとも50%までは配合可能と思われる。

[成果の活用面・留意点]
1. 植物性食品製造残さ飼料は交雑種肉用牛の飼料として可能性が認められる。
2. 飼料の経済性については検討していない。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:食品残さ飼料の交雑種肉用牛給与試験
予算区分:国庫
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:平原敏史、折原健太郎、水宅清二、秋山清、丹波義彰、鈴木貢1、西村勝志2(1中央カンセー株式会社、2日立ハイブリッドネットワーク株式会社)

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