効果的なアイガモへのニューカッスル病ワクチン接種方法


[要約]
アイガモ農法で利用するアイガモに対して、ニューカッスル病ワクチンの効果を水田放飼が終了する時期まで持続させるためには、ヒナがふ化してから28日までに4回点鼻接種することが必要である。

[キーワード]アイガモ、ニューカッスル病、ワクチン、抗体価

[担当]山梨畜試・養鶏科
[連絡先]電話055-273-6441
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 アイガモ農法の広まりに伴い、家禽と共通する伝染病の防除に関する周辺養鶏農家の要望が高くなっている。なかでも法定伝染病であるニューカッスル病(ND)は発生すると移動制限等、周辺養鶏農家への影響が大きく、アイガモ飼養農家においても十分な予防対策が望まれる。一方、アイガモなどの水禽類はニューカッスル病に対する感受性が低いといわれ、ワクチンに対する反応はまだ十分に検討されていない。
 本試験では種禽にNDワクチンを接種した場合について、ヒナへの移行抗体の推移を明らかにするとともに、効果的なヒナのワクチン接種方法について検討する。

[成果の内容・特徴]
【ND移行抗体の推移】
NDワクチン接種後1ヵ月後の受精卵のヒナでは、30日齢時でほとんどの個体が5倍以下の抗体価を示し、40日齢時では全ての個体で移行抗体が消失する傾向がある。(表1図1
NDワクチン接種後5ヵ月後の受精卵のヒナでは、ふ化後早い時期から移行抗体が消失する傾向がある。(表1図1
【NDワクチンプログラムによる抗体価】
14日齢までの2回点鼻では、8週齢時(GM=8.0)で抗体価が4倍以下に下がる個体もあり、ワクチンの効果が不十分となる可能性がある。(表2図2
28日齢までの4回点鼻では、8週齢時(GM=15.0)までは全てのヒナに、16週齢時(GM=9.7)までは8割のヒナに8倍以上の抗体価が維持される傾向がある。(表2図2

[成果の活用面・留意点]
NDワクチンは28日齢までに4回点鼻することが望ましい。
16週齢まで飼育するアイガモに適用する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:特殊家禽の改良と増殖
予算区分:県単
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:小川 陽介、井室 由紀、松下 浩一、西尾 進
発表論文等:井室(2003)畜産試験場研究報告第48号:27-30.

目次へ戻る