銅低減飼料を給与したSPF離乳子豚に対する乳酸菌添加木炭の効果


[要約]
銅低減飼料を離乳豚に給与すると軟便が散発するが、フリーズドライ処理した乳酸菌添加木炭を添加するとこれを抑制し発育が改善される。

[キーワード]銅、哺乳期子豚用飼料、軟便、炭、乳酸菌、ブタ

[担当]群馬畜試・豚飼養技術グループ
[連絡先]電話027-288-2222
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 哺乳期子豚用飼料には100ppm程度の銅が添加され環境負荷が懸念されている。銅含有量を低下させると軟便が散発し、ふんの色が明茶色に変化するため農家への普及が妨げられている。そこで整腸作用のある「炭」および「乳酸菌」を用い軟便の抑制を試みる。

[成果の内容・特徴]
 供試豚は、同一離乳日の母豚2頭から得られたデュロック種産子16頭を用い、各試験区に去勢1頭、雄1頭、雌2頭を割り当て1区4頭とした。試験方法は、「0ppm区」(銅無添加飼料)、「100ppm区」(銅100ppm添加飼料)、「木炭区」(木炭を銅無添加飼料に1%添加)、「乳酸菌添加木炭区」(2oメッシュ粉炭1sにEnterococcus faecium、Lactobacillus plantarumu、Lactobacillus acidophilusの3種を含む液状の乳酸菌(2.4×108cfu/ml)0.67lを混合し、フリーズドライ処理したものを銅無添加飼料に1%添加)の4区を設定した。試験は生後30〜60日齢の16頭の子豚を用い、各区4頭ずつ割り振り、発育、ふん中への銅排出量及びふんの性状について調査した。
1. 銅低減飼料給与により糞便中への銅排出濃度は873ppmから182ppmとおよそ1/5に低下した。
2. 発育は給与開始2週まで「乳酸菌添加木炭区」が一日あたり増体量で100ppm区を0.07s上回ったが、その後は各区の差は認められなかった。(図1表1
3. 下痢及び軟便の発生は「木炭」及び「乳酸菌添加木炭」の添加により低下した。(表2
4. 「木炭区」及び「乳酸菌添加木炭区」は銅100ppm添加飼料と同様に糞の色が黒く、農家も受け入れられやすいと思われた。(表3

[成果の活用面・留意点]
1. SPFのように衛生的な農場では銅低減飼料でも乳酸菌添加木炭を添加することによって離乳子豚を良好に飼育できる。
2. 一般農場と同様な衛生下での検討が必要である。
3. 30〜60日齢までの調査のため、これ以降の発育性についても検討が必要である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:豚ふん中の環境負荷物質低減化に伴う飼養管理技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2003〜2004年度
研究担当者:加部 武(群馬県林業試験場との共同研究)

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