発酵豆乳粕給与による飼料利用性及び卵質の向上


[要約]
産卵鶏に発酵豆乳粕乾燥粉末を飼料の5%を代替して給与することにより、卵重が重く、卵殻質や脂肪酸組成の優れた鶏卵を生産でき、飼料要求率が約3%改善される。

[キーワード]産卵鶏、発酵豆乳粕、卵殻質、脂肪酸組成、飼料要求率、卵用鶏

[担当]三重科技セ・畜産研究部・中小家畜グループ
[連絡先]電話0598-42-2207
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 近年、資源循環社会の構築に向けて、食品リサイクル法が施行され、食品製造業者等から排出される食品性廃棄物のリサイクルへの取り組みが各地で行われている。このような取り組みの中で、畜産飼料への利用では、リサイクルと飼料費削減という観点から取り組みがなされているが、これら廃棄物を未利用な有用資源として飼料価値を高める処理法や機能性成分の移行に関する点からの検討はあまり行われていない。本試験では未利用資源である豆乳粕を発酵処理して飼料価値を高めたものを産卵鶏(白色レグホン)に給与することにより産卵成績及び卵質向上を目的として検討を行う。

[成果の内容・特徴]
 生豆乳粕を水分調整後、豆麹菌と乳酸菌を混合して1ヶ月発酵させた後通風乾燥したA発酵飼料(A区とする)と発酵後麹菌を接種して3日培養後乾燥したB発酵飼料(B区とする)を対照飼料の5%代替して10週間供試する。
1. 発酵豆乳粕給与により、卵重が1.5〜2g、日産卵量が0.5〜1g増加し、飼料要求率が2〜3%改善される(表1)。
2. 卵質成績では、発酵豆乳粕給与により卵殻質の全項目(卵殻強度、卵殻厚、卵殻重量及び卵殻卵重比率)で5%前後の改善がみられ、卵黄脂肪酸組成は、リノール酸/リノレイン酸比率が減少する(表2)。
3. 飼料利用性では、発酵豆乳粕給与により、窒素蓄積率が2〜5%改善され(表3)、脛骨中のリン及びカルシウム含量も高い傾向が見られる(表4)。
 以上のことから、発酵豆乳粕を飼料の一部と代替して給与することにより、効率的に高品質な鶏卵生産が可能と考えられる。

[成果の活用面・留意点]
1. 発酵豆乳粕の飼料特性から、卵重低下が顕著となる夏季や産卵前期から中期にかけて飼料添加するのに適していると思われる。
2. 発酵豆乳粕は、飼料栄養価が高いので、卵重過大抑制の観点からみて産卵末期での使用は飼料中タンパク質を増加させないような飼料設計が必要となる。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:カンキツ等未利用資源を利用した地域特産機能性畜産物の開発
予算区分:県単
研究期間:2003〜2004年度
研究担当者:佐々木健二、巽 俊彰、紀平三生、岡 秀和、寺田和彦、中西圭一、小出 勇、蒲生夕子(三重大)、Ymiti Wusiman(三重大)、金 完哉(三重大)、Yahaya Mohammed Sani(三重大)、後藤正和(三重大)

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