大豆レシチン添加によるα−リノレン酸強化豚肉の肉質改善


[要約]
肉豚用飼料にアマニ油+ビタミンEに併せて大豆レシチン0.5%添加することで、α−リノレン酸含量は5倍程度含み、肉質検査のせん断力価は小さくなり、肉質改善の可能性が示唆された。

[キーワード]アマニ油、大豆レシチン、α−リノレン酸強化、n-6/n-3比、ブタ

[担当]石川畜総セ・飼養技術部・飼養管理科
[連絡先]電話0767-28-2284
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 飼料にアマニ油、ビタミンEを添加することで、一般豚に比べ豚肉中のα−リノレン酸が5倍程度多く含まれ、かつ、リノール酸などのn−6系列脂肪酸とα−リノレン酸などのn−3系列脂肪酸の比率(n-6/n-3比)が4程度となった。しかし、食味検査では「若干かたい」と評価された。
 そこで、α−リノレン酸強化豚肉の肉質を改善するため、アマニ油に併せて大豆レシチンを飼料に添加し、その効果を検討する。

[成果の内容・特徴]
生後120日齢前後から8週間、肉豚用飼料にα−リノレン酸を多く含むアマニ油、ビタミンE及び大豆レシチンを添加し給与した。食味検査は北陸学院短期大学の学生をパネラーとして実施する。
1. 日増体重は、3区、4区が2区に比べ低い値となった(表1)。
2. 肉質検査は各区間で有意差は認められなかった(表2)。
3. ロース及び背脂肪の脂肪酸組成割合は、3区、4区が2区に比べα−リノレン酸含量が低下し、リノール酸含量が増加する傾向がみられた。また、n-6/n-3比はロースでは4.7程度、背脂肪においては3.1程度を保った(表3)。
4. ロース肉の肉色検査は、a値(赤色)は各区間で差はみられなかったが、b値(黄色)は3区が2区に比べ有意に低くなる。
5. ロース肉の食味検査は、4区は2区に比べ肉の柔らかさ、肉の歯切れ、舌ざわりなどについて良いと評価された(図1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 大豆レシチンを添加することで、α-リノレン酸が多く含む豚肉の肉質改善の参考になる。
2. 肉豚飼料への添加期間は、生後120日齢前後から8週間給与する必要がある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:大豆レシチン添加によるα‐リノレン酸強化豚肉の肉質改善
課題ID:
予算区分:県単
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:常川久三、堀久夫(石川畜総セ)、坂井良輔、新澤祥恵、中村喜代美、三田陽子(北陸学院短期大学)柏倉真、村野賢博、船橋智子(日清オイリオ(株))

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