フレール型飼料イネ収穫機で収穫・調製した発酵品質良好なソルガム類のロールベールサイレージ


[要約]
ソルガムおよびスーダングラスをフレール型飼料イネ収穫機で収穫・調製するとダイレクトカット体系、予乾体系ともに慣行のモア・カッティングロールベール方式と比較して、乳酸発酵が促進され、良質なロールベールサイレージ調製ができる。

[キーワード]スーダングラス、ソルガム、フレール型飼料イネ収穫機、サイレージ

[担当]長野畜試・飼料環境部
[連絡先]電話0263-52-1188
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(草地)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 水田を活用した飼料作物として飼料イネ栽培の関心が高まっており、専用のロールベーラとベールラッパが実用化されている。専用収穫機の普及には、ソルガム類を含めた他の作物への汎用利用が課題となる。専用収穫機の中でも「フレール型」は刈取り時に作物組織を破砕するため、予乾時の乾燥促進や梱包したロールベールの梱包密度を高め、飼料作物に転用した場合、従来のロールベールサイレージに比較して、より高品質なサイレージ調製が期待できる。そこでフレール型飼料イネ専用収穫機を用いてソルガム(品種:葉月)およびスーダングラス(品種:HSK-1)の収穫・調製を行い、ロールベールサイレージの品質を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 収穫・調製したソルガムおよびスーダングラスは草丈が180〜250cm、稈径が6.1〜7.4mmで乾物収量は10aあたり915〜961kg程度である(表1)。
2. フレール型収穫機で刈取った後反転しない予乾区は、ロータリモアで刈取った後反転した慣行区に比較して、慣行区と同程度乾燥が進む(図1)。
3. ロールベール密度は、ダイレクトカット区、予乾区とも、慣行区と大きな差は認められない(表2)。
4. ダイレクトカット区、予乾区とも、慣行区と比較して、両草種ともサイレージpHが低く、乳酸が高い。VBN/TNは低く、V-SCOREは同程度か高い傾向となる(表2)。
5. 以上の結果から、ソルガム類をフレール型飼料イネ収穫機で収穫・調製するとダイレクトカット体系、予乾体系ともに慣行のモア・カッティングロールベール方式に比較して、乳酸発酵が促進されて良好なサイレージ調製が可能である。

[成果の活用面・留意点]
1. フレール型飼料イネ収穫機のソルガム類への転用利用が可能となる。
2. ダイレクトカット体系では、天候に左右されずに適期収穫が可能となり、発酵品質 良好なロールベール調製が可能となる。
3. ダイレクトカット体系で収穫・調製したラップサイレージは、貯蔵時に漏汁が発生するため、貯蔵・開封場所に注意が必要である。


[具体的データ]


[その他]
試験題名:飼料作物の品質、飼料価値に影響する品種特性および栽培利用条件の解明
予算区分:県単(基礎)
試験期間:2004〜2006年度
研究担当者:水流正裕、百瀬義男、中山利明、滝沢良水(ヤンマー農機甲信)、渡辺晴彦

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