豚ふんのメタン発酵処理における敷料・副資材としての古紙の活用


[要約]
畜産業で使われる敷料・副資材の中で、メタン発酵処理に適しているのは古紙である。主な敷料・副資材の中でメタン発酵処理によるガス発生量は、古紙、稲わら、コーヒー粕、もみ殻の順に多く発生する。

[キーワード]家畜ふん尿、メタン発酵、敷料、副資材

[担当]山梨畜試・養豚科
[連絡先]電話055-273-6441
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(畜産環境)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 共同型のメタン発酵施設の場合、メタン発酵の投入槽には、畜ふんと共に様々な種類の敷料や副資材の混入が予想される。そこで、メタン発酵処理に適した敷料・副資材を選定しそれを利用することで、効率的なメタン発酵が行えることを目的とする。

[成果の内容・特徴]
 8リットルの発酵汚泥(55℃,高温菌)に豚ふん(固形物含量25.9%、有機物含量22.8%)を有機物量で8g相当を投入し、投入した有機物が全量の5%となるように水を投入した。さらに、敷料・副資材6種類を有機物量で4g相当を追加投入した。HRT(水理学的滞留時間)は50日。60日間の連続投与を行った。ガス発生量は安定後の30日分の平均値を示した。また汚泥性状は60日後に採取した汚泥の分析値を示した。古紙はシュレッダー処理済みのコピー用紙を、コーヒー粕はコーヒー製造工場から排出されるコーヒー豆精製後の皮を、その他の資材は一般的なものを用いた。
1. 試験期間中、メタン発酵の阻害の指標となるアンモニア態窒素濃度及び低級脂肪酸(酢酸)濃度は低い値を示したことから、敷料・副資材混入による発酵阻害はない(表1)。
2. 豚ふんに敷料・副資材を混合してメタン発酵すると、バイオガス発生量は、古紙、稲わら、コーヒー粕、もみ殻をそれぞれ混合した順に多く発生する(図1)。
3. 豚ふんと混合してメタン発酵した際の有機物1gあたりの敷料・副資材のバイオガス発生量は、古紙が0.66L/g-VSと他の敷料・副資材と比較して最も多く発生することから、メタン発酵処理する上で古紙の活用は有効である。また、おが屑とくん炭からはバイオガスの発生は期待できない(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 家畜排せつ物をメタン発酵する場合は、家畜の飼養管理(敷料)や運搬時の水分調整(副資材)として古紙の利用が有効である。
2. 稲わら、おが屑、もみ殻、もみ殻くん炭は発酵槽底部に蓄積するため、定期的な取り除きが必要である。
3. コーヒー粕はスカムを形成しやすい。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:家畜ふん尿等有機性物質を用いたメタン発酵等に関する研究
予算区分:国補
研究期間:2000〜2004年度
研究担当者:赤尾友雪、石田昌弘、金高弘志、浅川一満

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