豚ぷんと生ゴミ混合堆肥化過程における環境負荷ガスの発生


[要約]
豚ぷんと生ゴミとの混合堆肥化過程での、環境負荷ガスの測定を行った結果、生ゴミ添加によって、アンモニアの発生量は増加したが、温室効果ガス(メタン及び亜酸化窒素)の発生量はかわらない。

[キーワード]温室効果ガス、アンモニア、豚ぷん、生ゴミ、堆肥化、家畜ふん尿

[担当]東京畜試・環境畜産部
[連絡先]電話042-528-0510
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(畜産環境)
[分類]科学 ・参考

[背景・ねらい]
 食品リサイクル法の施行により、生ゴミを堆肥化や乾燥処理によって再資源化する施策が進行している。しかし、生ゴミ単体では堆肥化が難しく、家畜ふんや剪定枝と混合し堆肥化する事例が増加している。
 そこで、生ゴミと家畜ふんとの混合堆肥化時における各種環境負荷ガスの発生実態を把握し、堆肥化時の注意点と発生抑制に寄与する情報を得る。

[成果の内容・特徴]
1. 豚ふん単体(対照区)と30%標準生ゴミ添加豚ふん(生ゴミ区)を簡易堆肥化装置(かぐやひめ)に充填し堆肥化を行い(水分含量:65%、期間:4週間、切返し回数:1回/週、通気量:500ml/分)、堆肥化過程における環境負荷ガス(アンモニア、メタン、亜酸化窒素)の発生量を測定した。(参照:表12
2. アンモニアの発生パターンは、対照区では、7日目までに約50%が揮散、その後は低レベルの揮散が継続した。生ゴミ区では、7日目までに20%が揮散し、対照区より高いレベルでの揮散が継続した。(図1
 発生量は、対照区では堆積物1m3当たり249.6g(投入窒素の7.42%)、生ゴミ区では454.8g(投入窒素の10.63%)で、生ゴミ混合によって、アンモニの発生量増加がおこった。
3. 3.メタンは両区とも開始直後にピークが発生した。発生パターンは、両区とも開始直後の揮散量が最も多く、7日目までに約50%が揮散。その後は、低レベルでの揮散が持続した。(図2
 発生量は、対照区が12.5g(投入有機物の0.0075%)、生ゴミ区が14.6g(投入有機物の0.0102%)で、差は見られなかった。
4. 亜酸化窒素は、両区とも試験開始直後にピークが発生した。発生パターンは、開始直後に急激な揮散が見られるが、総量の約10%であり、その後も持続的な揮散がおこった。(図3
 発生量は、生ゴミ区が2.0g(投入窒素の0.06%)、対照区が1.8g(投入窒素の0.042%)で、差は見られなかった。
5. 良好な通気状態を保った状態では、豚ぷんと生ゴミを混合しても温暖化ガス(メタン、亜酸化窒素)の発生を促進しなが、アンモニアの発生量が増大する可能性がある。

[成果の活用面・留意点]
1. 家畜ふんと生ゴミを混合堆肥化する場合、地球温暖化ガスの発生量は変わらない可能が示唆され、家畜ふんと生ゴミ混合堆肥化施策の後押し情報として活用可能。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:畜産からの環境負荷物質の低減
予算区分:都単
研究期間:2003〜2004年度
研究担当者:斉藤紅未、森本直樹

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