亜熱帯性果樹アテモヤ品種による樹上着生日数と収穫期


[要約]
亜熱帯性果樹アテモヤは、受粉からの樹上着生日数が「ピンクス・マンモス」で130日以降、「ヒラリー・ホワイト」で140日以降に収穫でき正常に追熟する。なお、それ以降も樹上におくと、果実重が増すなど商品性が向上する。

[キーワード]アテモヤ、追熟、成熟、収穫期

[担当]三重科技セ・農業研究部・紀南果樹研究室
[連絡先]電話05979-2-0008
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 亜熱帯性果樹アテモヤは、冬期の加温ができるハウス施設であれば栽培可能であり、収穫適期の判断は果皮イボ状突起境界部(以下、果皮凹部)の黄化程度が目立つ頃とされているが、樹上着生日数と収穫適期や成熟特性との関係が明らかでない。このことから、アテモヤの主要品種である「ピンクス・マンモス」、「ヒラリー・ホワイト」について、受粉からの樹上着生日数と収穫可能時期及び追熟、果実品質の変化との関係を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 「ピンクス・マンモス」は、樹上着生日数130日以上で、果皮凹部の黄化が果面の30〜40%に広がり目立つようになるとともに、追熟に要する日数が4〜5日と短くなり、果肉が均一に軟化してほとんど問題なく追熟する。このことから、収穫は受粉後130日以降に行うのが良い。(表1)。
2. 「ピンクス・マンモス」は、樹上着生日数が長くなるほど果実重が大きく、追熟後の酸含量や果肉の硬度が低下するとともに、果肉の香りや果汁も増すなど商品性が向上する(表12)。
3. 「ヒラリー・ホワイト」は、樹上着生日数140日以上で、「ピンクス・マンモス」と同様に果面黄化が目立ち(表1)、追熟に要する日数が7〜8日程度と短く、かつ斉一に果肉全体が軟化し問題なく追熟する。このことから、収穫は受粉後140日以降に行うのが良い(表1)。また、それ以前では果肉に硬い部分が残るととに、追熟完了時の果皮褐変割合も大きい(表3)。
4. 「ヒラリー・ホワイト」は樹上着生日数が長くなるほど果実重が大きく、追熟後の糖度が高まり、酸含量が低下するとともに、果肉の香りや果汁も増す(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. アテモヤは亜熱帯性果樹のため、加温できるハウス施設が必要であり、枝葉が生長している期間及び着果している期間は最低気温10℃以上に、冬期は0℃以上に管理する。
2. ここで述べる収穫期と樹上着生日数との関係は、生育初期に生育を促進するような温度管理を行った場合は異なる可能性がある。
3. 受粉日を記録すれば、着生日数から収穫開始期が予測でき出荷計画の参考になる。実際には、5〜7月の受粉期間中、着果した幼果を一旬程度毎にマーキングして収穫時期を区分しておき、収穫可能期には果実の凹部黄化程度や大きさ等の商品性にも配慮して収穫するのが良い。
4. 収穫可能な樹上着生日数を過ぎると、果皮の黄化が進んだ果実などで落果する場合が あり、収穫は落果状況も考慮し遅れすぎないよう判断する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:カンキツ等新品種の育成と栽培体系の確立
予算区分:県単
研究期間:2002〜2003年度
研究担当者:須崎徳高

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