イチジクの冬期収穫栽培で着果を促進するための枝管理法


[要約]
イチジク「桝井ドーフィン」において、加温栽培により冬期(12月〜3月)に収穫するには、春から伸びた結果枝を8月にせん定または誘引し、新しい結果枝を発生させる。この時、着果率を向上させるためには春枝の葉数を確保する。

[キーワード]イチジク、施設栽培、冬期収穫、着果率向上

[担当]静岡柑橘試・落葉果樹分場
[連絡先]電話053-428-3141
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 イチジク「桝井ドーフィン」では果実着生の時期を調節することにより、多様な作型で栽培されているが、冬期(12月〜3月)の出荷はまだ少ない。冬期に出荷するためには、夏季に新たな新梢(夏枝)を発生させ、これに着果したものを秋季(10月)から加温栽培して収穫する必要がある。このためには、春から伸長した枝(春枝)を切り返しせん定または水平誘引を行うが、夏枝の不着果節の発生が問題となる(写真1)。夏枝の着果率向上を図るための春枝の管理について最適な時期と方法を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 収穫時期を12月〜3月とすると、春枝を切り返しせん定する時期は、8月上旬が適当である(図1)。また、春枝を水平に誘引する場合も同様の時期である。
2. 8月上旬に春枝を切り返しせん定する時、切り返す節位を10節とすると新たに伸長した新梢(夏枝)の果実着生が多くなる。一方、10節で切り返しても葉を全て摘除することにより、着果が明らかに少なくなる(図2)。
3. 春枝を主枝として8月上旬に水平誘引し、発生した夏枝に着生する果実を利用する場合では、1樹当りの結果枝本数を少なくし、夏枝1本当りの春枝の葉数を多くした方が、新梢生育が旺盛となり着果が増加する(表1)。
 以上の結果から、イチジクを冬期に収穫でするためには、8月に切り返しせん定または水平誘引を行うが、この時に春枝の葉数が夏枝の果実着生に影響する。

[成果の活用面・留意点]
1. イチジク栽培農家の労働力分散と高価格販売による経営安定が期待できる。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:イチジクの周年生産技術体系の確立
予算区分:県単
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:鎌田憲昭、黒柳栄一

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