2月に出荷できるカンパニュラ・パーシフォリアの優良系統


[要約]
優良系統ブルーNo.23、ホワイトNo.5は、市販種子より低温要求量が少なく、促成栽培に向いている。市販種子より育苗期間を約2ヶ月以上短縮でき、11月中旬からの加温と電照により2月出荷が可能である。

[キーワード]カンパニュラ・パーシフォリア、早生、個体間差、低温要求、促成栽培

[担当]茨城農総セ園研・花き研究室
[連絡先]電話0299-45-8341
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 花き栽培における新品目および新品種の選定は経営的に極めて重要である。その中で最近注目されている宿根草のひとつであるカンパニュラ・パーシフォリアは、実生繁殖で個体間差が大きく、収量および品質の面でばらつきがでやすい等の問題がある。そこで安定的な生産のために、優良な系統を育成し作型を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 1996年にカンパニュラ・パーシフォリア市販系統中の開花の早い個体同士で交配し、得られた系統からさらに開花の早い系統を選抜し交配した。その後同様に開花の早い個体同士の交配・選抜をくり返した。その結果得られた優良系統は、ブルーNo.23(日本園芸植物標準色票8008)、ホワイトNo.5(日本園芸植物標準色票2901)である(図1)。加温電照栽培では、ブルーNo.23で開花がやや早い(表1)。
2. 加温促成栽培において、優良系統は市販種子より採花株率が高く生産性に優れる(表1)。また、優良系統は11月中旬には開花のための低温要求量をほぼ満たしており、11月中旬に加温・電照を開始すると、ブルーNo.23では1月から、ホワイトNo.5では2月からの出荷が可能である。(表1)。
3. 加温電照栽培における優良系統の切花品質(切花長、切花重)は、市販品種と同程度であり市場性がある(表1)。
4. 市販種子では6月に播種しても安定的な生産ができないが、優良系統では8月に播種しても高い採花株率であり、育苗期間の短縮が可能である(図2)。
5. 加温促成栽培で長日処理(暗期中断4時間)を行うと、夜温を5℃にした場合には開花は自然日長と変わらないが、10℃では開花が明らかに早くなり、夜温を高めに設定した場合に長日処理の実用性が高い(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 切り口からでる乳液は導管を閉塞させ日持ちを悪くするので、採花時に洗い流した後に水上げする。
2. 粗収益を試算すると、加温栽培で275,000円/a(収量5500本=1375株定植(利用率:55%、栽植間隔:20×20cm)×4本収穫/株、単価50円と仮定)、無加温栽培で165,000円/a(収量:加温栽培と同じ、単価30円)となる。
3. トルコギキョウやアスターなどの輪作品目となる。トルコギキョウでは抑制栽培の後に加温栽培を、季咲きの後に無加温栽培を導入するとよい。アスターでは季咲きおよび電照抑制栽培の後に導入するとよい。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:カンパニュラ類の優良系統の選定
予算区分:県単
研究期間:1996〜2003年度
研究担当者:市村勉、本図竹司、高城誠志、浅野昭

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