タイプが異なるカーネーションの養分吸収特性


[要約]
2タイプのカーネーション品種について養分吸収の推移および吸収量を把握するため、養液栽培により検討した。養分吸収速度は、生育が進むにつれて増加し、2~5月に最大となる。1月までは品種間差は小さく、その後スプレー系の吸収量がスタンダード系を上回る。慣行土耕栽培の50%の窒素施用量であった養液栽培でも、生育量や、品質は土耕栽培と同等である。

[キーワード]カーネーション、品種、養分吸収、施肥

[担当]静岡県農業試験場・南伊豆分場
[連絡先]電話0558-62-0001
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 カーネーションは施肥量が多く、連作による土壌養分の集積が懸念されており、その不安を解消するために養分吸収特性に即した施肥管理を行うことが必要である。そこで、スタンダード系代表品種「フランセスコ」とスプレー系代表品種「ライトピンクバーバラ」について、施肥量を変えた養液栽培と慣行土耕栽培で養分吸収量の推移および吸収量を把握する。

[成果の内容・特徴]
1. 乾物重は、いずれの品種も栽培期間を通して増加し、開花が盛んになる2月~5月に最大となる。また、栽培開始から1月頃までは両品種とも同等に増加するが、それ以降はスプレー系の増加量がスタンダード系を上回る。処理区別に見ると、園試処方3/4単位(以下園試処方省略)区が慣行土耕区と同等に増加する(図1)。N吸収量の増加速度も、両品種において乾物重と同様の傾向を示し、2~5月に最大となる(図省略)。
2. 切り花特性をみると、両品種の上物率は3/4単位と慣行土耕区に差はなく、1/4単位で劣る(表1)。
3. 各要素の吸収量は、3/4単位と慣行土耕が同等であり、3/4単位での1株あたりの各養分吸収量はスタンダード系でN:1.6g、P:0.3g、K:2.2g、スプレー系でN:1.9g、P:0.3g、K:2.6gであり、スプレー系が多い傾向を示す(表2)。
4. 慣行土耕栽培は、2品種とも、窒素施用量50%の養液栽培と同等の生育、吸収量を示し、吸収量を上回る施肥が行われている(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 潅水同時施肥栽培等における施肥体系確立の指標となる。
2. ガラス温室における7月上旬定植、1年切り栽培の作型である。
3. ロックウールを使用した養液栽培で、培養液濃度は園試処方1/4単位と3/4単位とした。培養液管理はエバーフローを使用し1日2回、0.33L/回/株給液し、廃液を循環させた。培養液は減少した量を追加した。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:カーネーション新品種育成選抜と養分吸収特性の解明
予算区分:県単
研究期間:2003年度(2001~2005年度)
研究担当者:加藤智恵美、稲葉善太郎

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