急傾斜地茶園の機械摘採のためのレール走行式摘採機とモノレールの利用


[要約]
既存の急傾斜地等高線うね茶園において、開発された重心移動機構付きレール走行式摘採機とうね間移動を行うモノレール運搬装置を利用して、摘採・整せん枝作業を平坦地と同等の作業能率で1人で行うことができる。

[キーワード]チャ、急傾斜地茶園、摘採、機械化、レール走行式、モノレール

[担当]静岡茶試・栽培研究
[連絡先]電話0548-27-2884
[区分]関東東海北陸農業・茶業
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 急傾斜地茶園での摘採・整せん枝作業は可搬型摘採機を利用した場合には2人組作業が必要で、かつ労働負担が大きく危険も伴う。そこで傾斜地適応性を高めるために開発された重心移動機構付きレール走行式摘採機とうね間移動を行うモノレール運搬装置を利用して、既存の急傾斜地茶園における摘採・整せん枝作業の機械化を図り、その作業性について調査する。

[成果の内容・特徴]
1. 本摘採機は重心移動機構を利用することにより傾斜地適応性が高まり、傾斜30度までの等高線走行を摘採・整せん枝作業時には0.2m/秒程度で、作業時以外は0.5m/秒程度の速度で安定して走行することができる(図1表1)。
2. 最大傾斜30度の急傾斜地茶園において、レール走行式摘採機による摘採作業やモノレールを利用したうね移動作業等に支障はなく、摘採、整枝、浅刈りせん枝等年間を通した作業を1人で行うことができる(図2)。
3. 本装置を利用した急傾斜地茶園における摘採作業能率は3.3a/hであり、平坦地で作業する場合と同等の能率で摘採作業を行うことができる(表1)。
4. 本摘採機は軽トラックに積載できるので山間地での運搬性に優れ、モノレールの運搬台車が枕地を兼ねるため搬入路や枕地の整備が必要ないことなどにより既存茶園への導入が容易である。

[成果の活用面・留意点]
1. 本摘採機を利用する場合には茶園レールとモノレールの設置が必要である。
2. 傾斜20度以下の場合にはモノレールを設置する必要がなく、既存のうね間運搬装置が利用できる。
3. 1人作業を行う場合は作業者が摘採機に追従し、両うね末端で作業する必要がある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:茶園における摘採ロボットの開発、新規茶園管理機械の作業能力と作業精度に関する調査
予算区分:県単
研究期間:2000〜2002年度、2003〜2004年度
研究担当者:倉貫幸一、長澤 正、大石哲也、山根 俊

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