茶生葉成分測定用近赤外分光装置の適用性


[要約]
近赤外分光装置による茶生葉成分の測定精度はサンプルの前処理方法等により異なるが、生産年度や品種の異なる試料に対する適用性の違いはみられない。茶生葉に付着する水分は測定精度に影響する。

[キーワード]茶、生葉、近赤外分光法、成分、品種適用性、付着水

[担当]静岡茶試・製茶新製品研究室
[連絡先]電話0548-27-2887
[区分]関東東海北陸農業・茶業
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 近年、近赤外分光法を用いた茶生葉の成分および品質を評価する装置が実用化され、導入が進んでいる。しかし、装置の測定精度、‘やぶきた’以外の品種への適用性、濡れ葉を想定した茶生葉への付着水の影響などは明らかではない。そこで装置の適正な利用を図るため、測定方法の異なる機種について、その特性を調査し、普及上の資料とするとともに機器の改善資料を得る。

[成果の内容・特徴]
1. 近赤外分光法を用いた茶生葉の成分および品質評価装置の測定精度は試料の前処理の有無および方法等により異なる(表1)。
2. 前処理として乾燥・粉砕処理を採用する方法(D法)では、処理は繁雑で時間を要するが、‘やぶきた’以外の品種‘さやまかおり’、‘おくひかり’においても測定精度は高い(図1)。また、生産年度の異なる試料に対しても測定精度は高い(データ省略)。
3. 茶生葉を前処理せずに測定する方法(B法)においてもD法に比べ測定精度はやや劣るが品種間での測定精度の違いはなく、測定時間は短く作業も容易である(表12)。
4. 茶生葉の付着水は測定精度に影響し、前処理を行わない方法(B法)では1.5%以上付着すると全窒素測定結果は0.4%以上高く(図2)、逆にNDFでは1%以上低く測定される(データ省略)。

[成果の活用面・留意点]
1. 前処理の有無、機種により測定精度が異なることから、特徴を理解し、用途に応じた方法、機種を採用する。
2. 前処理として乾燥・粉砕処理を採用する法(D法)では、生産年度、産地および品種間における測定値の比較にも活用できる。
3. 雨葉や露葉などの濡れた茶葉は成分の測定値に影響することから、付着水が1.5%以上では直接測定に供しない。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:近赤外法を用いた茶生葉格付け装置の特性調査
予算区分:県単
研究期間:2002〜2004年度
研究担当者:後藤正、佐田康稔

目次へ戻る