加熱調理後のネギのおいしさ評価


[要約]
加熱調理後のネギの“総合的なおいしさ”に対しては、官能評価の“甘み”の寄与率がもっとも高く、生ネギの分析値でブドウ糖と果糖の含量が多いネギは、加熱調理後おいしいと評価される。ネギにおける糖度は、ブドウ糖と果糖の含量及び“甘み”との相関がない。

[キーワード]ネギ、加熱調理、おいしさ、官能評価、糖度

[担当]千葉農総研・生産技術部・生産工学研究室
[連絡先]電話043-291-9532
[区分]関東東海北陸農業・流通加工、野菜
[分類]科学・普及

[背景・ねらい]
 これまでは「栽培しやすく、収量が多く、外観の良い」ネギが、品種導入や育種の目標であったが、近年、生産地では消費者の望む良食味ネギを選定するための情報や栽培技術が求められている。そこで、分析型パネルにより加熱調理後のネギの官能評価を行い、生ネギの機器分析による成分値との関係を明らかにし、加熱調理後のネギのおいしさを評価する手法を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 分析パネルによる官能評価では、加熱調理したネギの“総合的なおいしさ”に対して“甘み”のスコアがもっとも寄与率が高い。“すじっぽさ”は“硬さ”と正の相関が高く、“粘り”は“総合的なおいしさ”と高い負の相関を示す項目である(表1)。
2. ブドウ糖と果糖の含量が多いネギは、官能評価の“総合的なおいしさ”と“甘み”のスコアが高くなり、おいしいと評価される(表2)。
3. ネギ搾汁液の糖度は、官能評価の“甘み”のスコアとも、あるいはブドウ糖と果糖の含量のいずれとも相関を持たないため、ネギの“甘み”を糖度で推定することは不適切である(表2図1)。
4. 糖度及びAIS量は、官能評価で食感の“粘り”スコアと高い相関を示すことから、糖度またはAIS量を測定することによって、加熱調理後の“粘り”を推定することができると考えられる。また、貫入応力値とAIS量は食感の“硬さ”と相関が認められる(表2)。
5. 加熱調理後もネギの遊離糖組成及び含量はほとんど変わらないため、生ネギの分析値により加熱調理後のネギの“甘み”を推定することが可能である(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本成果から、適切な食味パネルがない場合にも、糖度またはAIS量の測定により、加熱調理後の“粘り”の推定が可能と考えられる。
2. また、生ネギの糖(ブドウ糖及び果糖)含量分析結果から、加熱調理後の“甘み”の推定が可能と考えられる。
3. 食味評価に用いるネギは、生育にばらつきのない数個体の葉鞘部(盤茎部から5〜20cm)をラップで包んでレンジ加熱し、同じ部位について評価する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:ネギ食味の評価手法の確立
予算区分:県単
研究期間:2002〜2003年度
研究担当者:本居聡子、長谷川誠、安藤利夫、桑田主税

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