麦わら被覆条件下における大豆用土壌処理除草剤の効果


[要約]
麦わらが土面を覆う条件下で、大豆用土壌処理除草剤の多くは残草量対無処理区比1%未満の高い効果を示すが、DCMU水和剤およびCAT水和剤の効果は著しく劣る。麦わら被覆条件下で高い除草効果を有する3種類の混合剤の効果発現には、麦わらに付着した除草剤の土壌への移動は必須ではなく麦わら層内で雑草に作用できる。

[キーワード]麦わら、不耕起、大豆、土壌処理除草剤、除草効果

[担当]中央農研・関東東海総合研究部・総合研究第1チーム
[連絡先]電話029-838-8512
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・総合研究、共通基盤・雑草
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 麦−大豆二毛作体系における大豆の不耕起栽培では、大豆播種後の土壌処理除草剤散布時に土面が前作残さである麦わらに被覆されていることが多い。このような条件下では、水和剤や乳剤の希釈溶液の噴霧粒子が麦わらに付着するため、除草剤の土面への到達割合は低いと考えられ、麦わら被覆条件下での土壌処理除草剤の効果とその必要性が疑問視されていた。そこで麦わら被覆条件下における土壌処理除草剤の効果を評価するとともに、麦わらに付着した除草剤の、除草効果発現に対する寄与を明らかにしようとした。

[成果の内容・特徴]
1. 麦わら被覆条件において、多くの大豆用土壌処理剤は残草量対無処理区比1%未満の高い除草効果を示すが、DCMU水和剤およびCAT水和剤の2剤は、同条件下で除草効果が著しく劣る(図1)。
2. 麦わら被覆条件で高い除草効果を示した3種類の混合剤の散布後に被覆麦わらを除去すると除草剤の効果は低下する(図2)。従って、麦わらに付着した除草剤が除草効果の発現に寄与している。
3. 除草剤を吸着させる目的で土壌表層に活性炭を施用し、麦わら被覆条件で3種類の混合剤を散布すると、麦わらが無い場合に比べ除草剤の効果は高い(図3)。従って、麦わらに付着した除草剤の土壌への移動は除草効果の発現に必須ではなく、除草剤は直接麦わら層内で雑草に作用できる。

[成果の活用面・留意点]
1. 不耕起大豆作における雑草防除技術の組み立ておよびその指導のための資料として活用が期待される。
2. この成果は、ヒエ(品種:軽米在来)およびホソアオゲイトウに対する除草効果に基づく。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:稲−麦−大豆輪作体系化における安定・省力・省資材大豆不耕起栽培の確立
課題ID:03-01-01-01-19-04
予算区分:ブラニチ2系
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:中山壮一、浜口秀生

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