早生で安定多収・高品質な陸稲「関東糯197号」の奨励品種採用


[要約]
陸稲「関東糯197号」は「キヨハタモチ」より成熟期が早く強稈・多収で、耐干性が強く栽培特性が優れる。また、千粒重が「キヨハタモチ」より重く大粒で外観品質・餅品質も優れるため、奨励品種に採用する。

[キーワード]関東糯197号、奨励品種、早生、千粒重、耐干性、餅食味

[担当]茨城県農総セ農研・作物研究室
[連絡先]電話029-239-7212
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 本県の陸稲品種「キヨハタモチ」は、収穫作業が水稲「コシヒカリ」と競合しているため作付面積比率は約10%と低い。陸稲の安定生産のためには「コシヒカリ」との収穫作業の競合を避けられる早生であるとともに、耐干性があり、餅品質については「ゆめのはたもち」と同等以上の品質を持つことが望ましい。そこで、早生・安定多収で千粒重が重く、耐干性、餅品質も優れる「関東糯197号」を奨励品種として採用する。

[成果の内容・特徴]
 「関東糯197号」は茨城県農業総合センター生物工学研究所で「関東糯166号」を母とし、「関東糯166号」と「関東糯168号(ゆめのはたもち)」のF1を父として育成された品種で、「キヨハタモチ」に比べて以下の特徴がある。
1) 出穂期は3〜4日早い「早生」であり、成熟期は3〜5日早い(表1)。
2) 成熟期のふ先色は「キヨハタモチ」と同じ「褐」であり、「トヨハタモチ」(紫)、「ゆめのはたもち」(黄白)と識別性がある。
3) 短・強稈であり、玄米重は10〜28%安定して多収である(表12)。
4) 穂数がやや少なく、生育量は同等以下である(表12)。
5) 千粒重は1.9〜2.5g重く大粒であり、玄米品質は同等以上である(表12)。
6) 耐干性は同等の「強」であり、穂発芽性は同等の「難」である(育成地調査、表3)。
7) 餅食味は滑らかさ、歯ごたえ、粘りが優れる。このため総合評価は優れる(表4)。

[成果の活用面・留意点]
1) 関東糯197号は「キヨハタモチ」に替えて、県内全域を対象地域として普及する。普及面積は当面「キヨハタモチ」の現在の栽培面積である400haを目標とする。
2) 早生・短強稈で耐肥性があるため、秋作露地野菜前作の輪作作物としての活用が可能である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:奨励品種決定調査
予算区分:県単
担当期間:2001〜2004年度
研究担当者:小山田一郎、鈴木正明、泉澤直

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