小麦「群馬W10号」の奨励(認定)品種採用


[要約]
「群馬W10号」は、早生で耐倒伏性に優れ、製粉性が高く、麺用として優れているので奨励(認定)品種に採用する。

[キーワード]小麦、群馬W10号、早生、耐倒伏性、製粉性

[担当]群馬農技セ・生産技術部・作物育種グループ
[連絡先]電話027-269-9125
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 群馬県では、現在「農林61号」が主力品種として多く作付けされているが、熟期が遅いため、その後の水稲を移植するまでの期間が短く作業的に忙しい。そこで、安定した水稲−麦二毛作体系の確立を図るため、1997年に早生品種である「つるぴかり」を導入したが、「つるぴかり」は低アミロース品種で用途が特殊であるため、一定の作付け面積から伸びていない。そのため、早生で良質の品種が求められている。
 そこで、早生で加工適性に優れる「群馬W10号」を導入し「農林61号」の一部に替え実需者評価を実施しながら、生産振興を図る。

[成果の内容・特徴]
 「農林61号」と比較して次の特徴がある。
1. 出穂期は6日程度早い(表1)。
2. 成熟期は3日程度早い(表1)。
3. 稈長は10cm以上低く、穂長は並、穂数は並から多である(表12)。
4. 耐倒伏性は優れている(表1)。
5. 収量性は奨決で並、現地試験できぬの波程度の多収である(表12)。
6. 外観品質は優れる(表1)。
7. 千粒重は1g程度小さいが、容積重は同程度である(表1)。
8. 原麦のタンパク質含量は1%程度低い(表1)。
9. 製粉性は優れ、粉色は黄色みがやや強い(表3)。
10. 官能試験では、全項目で優れる(表4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 早生品種であるので凍霜害の危険性を回避するためにも極端な早播きはしない。
2. 病害虫防除では、うどんこ病の発生に留意する。
3. 低タンパク質傾向にあるため施肥管理に留意する。
4. 普及見込み面積は、実需者と協議をしながら面積拡大を図るが、平坦二毛作地域を中心に2000haを目標として進める。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:麦類奨励品種決定調査
予算区分:県単
研究期間:1998〜2003年度
研究担当者:折茂佐重樹、高橋利和、成塚彰久、大沢実、関上直幸、広岡政義

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