高品質な酒造米「総の舞」を生産するための収穫適期及び乾燥法


[要約]
酒造好適米品種「総の舞」の高品質生産のためには、収穫時期が遅れると精米時の砕米が増加するので、収穫適期は出穂後38日から41日を目安として、帯緑色籾歩合15%前後の時とする。浸漬時の割れ米率を少なくするために、乾燥温度は高温にならないようにし、仕上げ水分は15%を目標に過乾燥にならないようにする。

[キーワード]酒造好適米、総の舞、砕米、収穫時期、乾燥

[担当]千葉農総研・生産技術部・水田作研究室
[連絡先]電話043-292-0016
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 酒造好適米は、精米時の砕米や浸漬時の割れが多く発生すると仕込み時の発酵に悪影響を及ぼす。そこで、高品質な酒造原料として酒造好適米を生産するための収穫適期及び乾燥法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 屑米歩合は出穂後日数の推移にともない低くなる。一方、酒造のために60%精米した時の砕米率は、出穂後38日以降、遅くなるにしたがい高くなる。屑米歩合と精米時の砕米率の両者から見た収穫適期は、出穂後38日から41日である(図1)。
2. 出穂後の気温が低い年(2003年)には、収穫適期となる出穂後日数が遅くなり、出穂後39日から43日となる(図12)。
3. 出穂後の気温が低い場合には帯緑色籾歩合の低下が遅れるが、収穫適期の帯緑色籾歩合は、出穂後の気温によらず、15%前後の時である(図23)。
4. 収穫時期や乾燥方法が酒造原料としての米の品質に及ぼす影響は大きく、とくに、収穫時期が遅れると精米時の砕米が増加するので、収穫適期は、出穂後38日から41日を目安として、帯緑色籾歩合15%前後の時とする。
5. 浸漬時の割れ米率は、浸漬時間の経過に伴って高くなり、乾燥温度が40℃と高い場合や、仕上げ水分が低く過乾燥になった場合には割れ米が多くなる(図4)。浸清時の割れ米を少なくするためには、乾燥温度は、高温にならないように約35℃とし、仕上げ水分は15%を目標に過乾燥にならないようにすることが重要である。

[成果の活用面・留意点]
1. 一般うるち品種と比較して、「総の舞」は籾の黄化は遅いが、帯緑色籾歩合は出穂後25日以降に急激に低下するため、収穫適期を逸さないように十分に注意する。
2. ここに示した乾燥温度と仕上げ水分は、小規模な環境での試験である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:酒造好適米新品種「総の舞」の生育特性の解明と栽培法の確立
予算区分:県単
研究期間:2000〜2003年度
研究担当者:太田和也、小山 豊
発表論文等:
1)太田ら(2004) 作物学会関東支部19:50-51.

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