水稲「関東209号」の奨励品種採用


[要約]
水稲「関東209号」は本県において10月上旬に収穫する中生品種である。短稈で耐倒伏性が強く、粘りがあり良食味なので、奨励品種に採用する。

[キーワード]水稲、奨励品種、関東209号、良食味、中生品種

[担当]神奈川農総研・生物資源部
[連絡先]電話0463-58-0333
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 神奈川県では早生品種の「キヌヒカリ」に作付けが集中している。しかし、「キヌヒカリ」の収穫時期は9月下旬のため、秋雨や高温障害等の気象災害を受けやすく、乳白粒や胴割粒が多発する。また、同一水系においては「キヌヒカリ」中心の水管理が中晩生品種の「祭り晴」の品質、食味を低下させている。そこで「キヌヒカリ」と「祭り晴」の中間の熟期となる良食味品種を選定する。

[成果の内容・特徴]
1. 「関東209号」の出穂期、成熟期は「キヌヒカリ」より7〜10日遅く、「祭り晴」より3〜5日早い、本県では中生品種である(表1)。
2. 稈長は「キヌヒカリ」より約4〜11cm短く、「祭り晴」並の短稈である。耐倒伏性は「キヌヒカリ」並のやや強である(表1)。
3. 収量性は「キヌヒカリ」より優れ、「祭り晴」と同程度である(表1)。
4. 玄米千粒重は「キヌヒカリ」よりやや重く、粒色はやや濃飴である。茶米はやや多いが、見かけの玄米品質は「キヌヒカリ」に優る(表1)。
5. 食味は粘りがあり、「キヌヒカリ」並〜やや良である(図1)。
6. 玄米のタンパク質含量は「キヌヒカリ」よりやや低く、「祭り晴」と同程度である(図2)。
7. 出穂前20日〜14日の追肥は増収効果が高く、玄米のタンパク質含量が高まらない(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 普及地帯は県内全域。普及見込み面積は1000ha。
2. 分げつ期の葉色が淡いので、追肥は多肥にならないように注意する。
3. 出穂前20日以前の追肥は止葉が長くなり、出穂前7日以降の追肥は玄米のタンパク含量が高まる。
4. 白葉枯病の常発地域では、一度に多量の窒素肥料を施さない。籾枯細菌病については、種子消毒の徹底を図る。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:水稲奨励品種決定調査
予算区分:県単
研究期間:2001〜2004年度
研究担当者:大嶋保夫、北川高弘

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