小麦「イワイノダイチ」の蛋白質含量向上のための施肥法


[要約]
「イワイノダイチ」は耐倒伏性が強いため、3月追肥の窒素施肥量を農林61号に比べて2kg/10a増やすことで子実蛋白質含量を増加させることができる。増量追肥の適期は3月上旬で、3月中旬以降の増量追肥は外観品質、粉色の低下を伴う。

[キーワード]イワイノダイチ、追肥時期、増量追肥、蛋白質含量、品質

[担当]愛知農総試・作物研究部・作物グループ
[連絡先]電話0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 「イワイノダイチ」は早生で製粉性と麺の色・食感が優れる品種であるが、蛋白質含量が農林61号に比べ低い傾向がある。このため、これまでは追肥時期を農林61号より遅くすることで蛋白質含量の向上が図られてきたが、この施肥法では新ランク区分の蛋白質含量基準値9.5%〜11.5%を達成することは困難である。そこで、蛋白質含量9.5%を目指せる実用的な施肥法を確立し、新たに奨励品種に採用した愛知県産イワイノダイチの品質評価の向上を図る。

[成果の内容・特徴]
1. イワイノダイチの施肥法として農林61号の慣行追肥に対し、窒素施肥量で2kg/10aを増量追肥すると蛋白質含量が増加する。また、増量追肥により収量も増加する(表1図1)。
2. イワイノダイチは耐倒伏性が強く、増量追肥により稈長は長くなるが、倒伏程度は軽微であった(図2)。
3. 外観品質および粉色は蛋白質含量の向上により、やや低下する傾向がみられ、追肥時期が遅い場合この傾向が顕著である。このため、農林61号と同時期の3月上旬に増量追肥を行うと、外観品質、粉色の低下を抑制することができる(図3)。
4. イワイノダイチの蛋白質含量適正化を目指した実用的施肥法は、農林61号と同時期の1月下旬、3月上旬に追肥を行い、3月の追肥を増量する。

[成果の活用面・留意点]
1. この追肥法は愛知県におけるイワイノダイチの適期播種栽培に適用する。
2. 増量追肥により出穂期および成熟期が1日程度遅くなることがある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:東海の水田輪換畑における有望早生小麦品種・系統の収量・品質安定化栽培技術の開発
予算区分:ブラニチ1系
研究期間:継2003〜2004年度
研究担当者:谷 俊男、井上勝弘、小西敏郎、澤田恭彦

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